食糧増産をめざす中国政府は近年、比較的標高の高い土地での米作、いわゆる「山での水稲耕作」を推奨してきた。
しかし、中国政府のそのやり方は農作物が本来もつ生育の規則性に反するものである上、生態環境や地質の強度を破壊し、地滑りや土壤流失を引き起こすとして、専門家から危険性が指摘されてきた。
今月14日、雲南省臨滄市を襲った度重なる豪雨は、そうした「山での水稲耕作」を直撃した。
水稲栽培のため山の斜面を削って増設した「水田」は完全に崩落した。さらに、雨で流された大量の土砂が土石流となって民家を押しつぶし、大きな被害をもたらしている。米政府系放送局のラジオ・フリー・アジア(RFA)などが報じた。
本来、森の樹木が根を張り、土壌としっかり一体化することで表面の土砂は崩れにくくなる。また、森の保水力が雨水を蓄えることによって、水害を発生しにくくするのだ。
しかし、中国政府が進める「山での水稲耕作」によって、現地の多くの小山の樹木は伐採され「水田」に改造されていた。
そのため、豪雨による増水にはとても耐えられず、山の斜面全体が崩れ落ちる土石流が発生した。山上にある水田が壊滅状態になったばかりか、山の下に住む地元住民にとっても大きな脅威となったのだ。
近年、中国政府は、近い将来に直面する食料問題に備えて、主食となる食糧確保のために「森林を農地にする(中国語:退林还耕)」運動を全国規模で展開している。「山での水稲耕作」もその一環である。
これまでにも、雲南省政府が大型重機をつかって山の樹木をなぎ倒し、草木も生えない「人工の棚田」に造り変える様子を映した動画がSNSでも拡散されてきた。
その際、山上での水稲栽培に不可欠な「水」の確保が課題となっていた。しかし、ひとたび豪雨となった場合には、その「水」が恐るべき土石流となって民家へ襲いかかってくることが証明されたのである。
自然の摂理に従わない「中共の農法」が壊滅的な結果をもたらすことの典型例であると 言えるだろう。
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