2019年6月16日、香港の自由と民主を守るため、200万人(主催者発表)の学生や市民が街頭に出てデモを行った。
その「香港デモ」から4周年にあたる今月の9日夜、香港の観光名所「獅子山」の頂上に「GLORY HK」の光文字が、複数の市民によって掲げられた。
「GLORY HK」は、香港では「拡散禁止」となった歌曲「香港に栄光あれ(願榮光歸香港/Glory to Hong Kong)」に由来する。
いま香港で、当時の抗議デモを象徴するこの歌をうたえば、最大で7年の刑事罰が科される可能性がある。
また、この「獅子山」は、香港デモが行われていた期間中、その頂上に抗議者に対して、「初心を忘れないよう」鼓舞する内容の大きな横断幕がしばしば掲げられてきた。そのため、この山は「香港人の象徴」「香港精神を代表する」とされてきた。
香港では最近、市民が「黄色いマスクをしていた」「手に花を持っていた」などで、香港警察によって逮捕されている。
それらの物品が「天安門事件や香港デモへの追悼、記念を連想させる」というのが逮捕の理由だ。それは今の香港が、4年前には考えられないような、恐るべき「警察国家」になってしまったことを意味している。
逮捕による一時拘束のほか、「国安法」適用による刑事罰の可能性もあるため、香港人は沈黙と忍従を強いられている。
香港の反体制的な活動を取り締まる「香港国家安全維持法(国安法)」は、香港人だけでなく、外国人による行為、あるいは香港以外の場所での行為も処罰の対象としている。しかし、その犯罪定義があいまいであるうえ、極めて恣意的に適用されるため、どのような場合に違法になるのかを知ることは事実上不可能だ。
それでも、自由と民主の「香港精神」を今も堅持する、勇気ある香港人はいる。
香港デモ4周年にあたる今月、複数の香港市民が、雨のなか、もちろん「国安法」適用で逮捕されるリスクを承知の上で、あの4年前の「獅子山」の頂上に「GLORY HK(香港に栄光あれ)」の光る文字を堂々と掲げた。
彼らは、暗黒の中でなお消えない、香港人の「自由と光明への期待」を表したのだ。
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