学生の悪行を減らし、注意散漫になるのをなくし、教室での生活の質を向上させるために、カナダの一部の学校ではすでに授業中の携帯電話の電源を切るよう生徒に求めている。
オンタリオ州は、カナダで唯一、教室での携帯電話の使用を積極的に禁止している州である。一方で、ケベック州、ノバスコシア州、ブリティッシュコロンビア州では同様の提案は先月、否決されている。
一部の個別のカナダの学校や学区では、生徒が携帯電話の使用を禁止する方針を自主的に取り入れている。
モントリオールのセント・トーマス高校から、アルタ州シャーウッドパークのエルクアイランド公立学校まで、学校管理者は携帯電話禁止令を実施し、生徒に一日の始まりに携帯電話をロックさせたり、または授業中は電源を切っておくように求めている。
カナダ放送協会(CBC)によると、ブリティッシュコロンビア州のサンシャインコーストにあるシャトレックセカンダリースクールは、6か月前に携帯電話の使用を禁止し、その結果は素晴らしいものだった。
学校のカウンセラー、トゥラニ・ピアースさんは先月のインタビューで、携帯電話の使用禁止で「メンタルヘルスが改善し、いじめが減少し、生徒たちが授業に積極的に参加することが増え、より社交的になるなどの現象が見られる」と語った。
専門家「携帯電話、メンタルヘルスに悪影響」
携帯電話は学生のメンタルヘルスに大きな影響を与える、とオタワ大学の教育リーダーシップ・政策・プログラム評価担当のサチン・マハラジ助教授が指摘している。
マハラジ助教授は、「学校は単に講義の内容を教えるだけではない」と考えている。「深く考える力、長時間集中する力、相手の話を注意深く共感的に理解し、それに応える力など、「思考習慣」も教えているとCBCに語っている。
「学生が常に携帯電話に気を取られる状況になると、そのような能力を低下させることになると思う」。
マハラジさんによると、教室に携帯電話があるだけで、学生たちは端末を操作しないことで何か見落としているのではないかと気が散ってしまうそうだ。大人が同じように携帯電話に依存している場合、禁止令を出すのは特に難しい。
そのため、禁止令は包括的なものでなければならず、学校全体に適用され、教室ごとに異なるルールが確立されていなければならない、とマハラジさんは強調した。
また「社会として、私たちは、少なくとも、10代の若者がすべての気晴らしから解放されて存在することができるいくつかのスペースを切り開くことができる必要があり、私は学校がそのような場所の一つであるべきだと思う」と指摘した。
携帯電話 良い所もあるが…
オンタリオ州ブランプトンに住むトニー・ジュキッチさんは、娘のカレンさんは以前の学校で他の子供たちから標的にされた際に自分と携帯電話で連絡を取り合っていたとCBCに語った。
ジュキッチさんは、携帯電話は娘にとって一種のライフラインだと考えている。「携帯電話がなければ、彼女は誰にも頼ることができず、おびえ、心配しながら数日間を学校で過ごしたことだろう」。
カレンさんは気分が落ち込んだときにフェイスタイムで父親と話すことを副校長から許可されている。
オンタリオ州の携帯電話禁止令は2019年11月から施行されている(学習目的で使用する端末は例外)。カレンさんによると、「携帯電話を持っている人はみんな持ってきて、好きな時に授業中に使用しています」。
イカルイト市の17歳の学生、ケイティ・ユーさんは、安全上の理由で、携帯電話は重要だが、教室内での実用的な用途もあり、学校生活で必要なツールだ、と語った。
彼女は調べ物やノートをとったり、課外活動の計画に携帯電話を使っている。ただし、授業中はほとんどの場合、鍵をかけて保管しており、携帯電話の使用を管理するのは学生自身の責任であるべきだ、と考えている。
サスカトゥーン市の15歳の中学生、コナー・マーソン=デイヴィスさんは、授業中に頻繁に携帯電話を使っているとCBCに語り、時々、携帯電話を取り出して気がついてみると、いつの間にか1時限が過ぎていると言う。デイヴィスさんは携帯電話禁止令に賛成している。
彼によると、10年生の健康科学の先生が木製のごみ箱を作って、授業中は生徒が携帯電話を入れられるようにした。その結果、自分もクラスメートも授業に集中できるようになったそうだ。
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