中国ゲノム解析大手の華大基因(BGI)が出生前診断で収集した遺伝子データを中国共産党に提供する恐れがあるとして、英超党派議員団は22日、緊急調査を求める書簡を英国個人情報保護監督機関(ICO)に送った。
ロイター通信は2021年、BGIは中国軍と共同開発した出生前検査「NIFTY」を通して集めた遺伝子データを二次利用し、中国当局に提出する恐れがあると報じた。米商務省は3月、中国の軍事プログラムや少数民族の弾圧に関与した疑いがあるとしてBGI子会社3社をブラックリストに追加している。
ジェームズ・ベセル卿やトリー党のヘンリー・スミス議員らは書簡の中で「消費者が中国政府と繋がりのある企業とデータを共有することに伴うリスクを慎重に評価するためには、完全な透明性を確保することが不可欠だ」と述べ、ICOが緊急の調査を実施するよう訴えた。
2013年より海外で販売されているNIFTYは、母体からの採血によって胎児の異常を調べる「非侵襲性出生前遺伝学的検査(NIPT)」で、2021年末までの検査数は1000万件に上る。英国のほかカナダや欧州各国など少なくとも52カ国で販売されているが、2021年時点では、日本で販売されていないことがエポックタイムズの取材により判明している。
ロイターによれば、BGIは軍事スーパーコンピュータを使用してNIFTYデータを再分析することで中国人女性のウイルスの有病率をマッピングし、精神疾患の指標を探し、チベットとウイグルの少数民族を選択して遺伝子とその特徴の関連を見つけて」いるという。
また、一部の遺伝子データが、中国当局が資金提供するBGIの「国家基因庫」と呼ばれるデータベースに保管されていたことも明らかになっている。報道を受けてポンペオ国務長官(当時)は妊婦からの遺伝子情報収集は「中国が世界征服を企てていることを示している」と警鐘を鳴らしていた。
書簡は中国企業にデータ提供を義務付ける中国の国家情報法にも懸念を示し「BGIがどのような中国の法律の適用を受けるかを確認することが重要だ」と述べた。同社はロイター通信の報道後「国家安全保障に直接関連する場合には、データを中国当局に提出する」との規定をサイト上から削除している。
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