オピニオン 上岡龍次コラム

中国の雇用問題を岸田首相が解決する可能性

2023/05/06
更新: 2024/06/13

中国で深刻化する雇用問題

日本では労働者不足になっており岸田政権は専門の知識や技能を持つ外国人労働者を受け入れる「特定技能制度」を変更する方針を示した。さらに岸田政権は農業や漁業などの9分野で、これまで最長5年としていた在留期間を試験に通れば日本への永住と家族の帯同を認めるまで緩和する。

それに対して中国では大学卒業者の厳しい就職難が発生している。この原因は中国共産党がハイテク分野と教育に介入したことで雇用が減少したと見られている。日本では労働力不足になり中国では大学卒業者の就職難になったが、岸田政権が特定技能制度を変更すれば中国の就職難を救う可能性が有る。それも国民を捨てた中国人優先の政策になる可能性が有る。

 

新自由主義の弊害

古代ローマの初代皇帝オクタビアヌスは就任受諾の条件に元老院議員は「金儲けをするな」と財力の保持を禁じた。オクタビアヌスは権力・武力・財力の三力を一人の人間が複数保持すると国家が破滅するか民が苦しむと認識していた。理由は独裁者を生み出すことが容易。さらに私利私欲に動けば自分に都合の良い法律を作ることが可能。人間は弱く儚く強欲で見栄っ張りだから、複数の力を持てば国家を衰退させるか破壊すると理解していたと思われる。

オクタビアヌスの考えが受け継がれていたローマは栄えたが、忘れられるとローマは消滅した。ローマの失敗は過去の話ではない。現代でも一人の人間が複数の力を持つと国家を衰退させる。中国は中国共産党が権力・武力・財力を独占して肥え太る状況で、中国共産党に都合が良い法律が作られるので人民は苦しむだけの世界になっている。

戦後になると怪しげな経済思想である新自由主義の概念が政治家の心を掴んだ。政治家が新自由主義を採用すると、資本家は経済格差を作り、官僚は権力を私物化し、政治家は国民を扇動する世界になった。新自由主義の経済理論として対極に位置する共産主義が存在するが、世界の工場と呼ばれる様になったころから中国社会を蝕んでいる。

日本も同じく新自由主義に病んでいる様で、政治家の多くが決断を放棄しており経済団体に都合が良い政策を採用している。経済格差は国家を強くするどころか逆に国家を衰退させる。さらに新自由主義に染まった某企業の会長は過去に次の様な発言をしている。

・国益と日本経済界と個々の企業の3者がハッピーな政策は有り得ない。

・優先順位は個々の企業の収益が第一、経済界の利益が第二、国益は捨ててもやむを得ない。

・国民なんか面倒見てられないからホワイトカラーは労働組合から外して残業で倒れるまで働け。

財力を持つ資本家が政治に介入すると複数の力を持つことになり、オクタビアヌスの主張が正しいことを日本で証明している。戦後の政治は経済の奴隷だが、“本来の政治は権力・武力・財力の秩序均衡を行うのが本業”だ。政治家が基本に回帰しなければ国家の衰退を止められないだろう。だが新自由主義は発祥地アメリカを衰退させ日本と中国も衰退させている。

 

岸田政権が中国を救う悪夢

日本は労働力不足と言われるが国民の雇用が安定しているとは思えない。なぜなら正社員ではなく派遣社員が多いなら安い労働力を求めているだけ。その行き着く先が安い人件費で雇える特定技能制度。ところが今の条件では外国人が集まらないから、守銭奴のために条件を変えて日本への永住と家族の帯同を認めるまで緩和する。

中国の大学卒業者は中国と日本を比較すると何方を選ぶだろうか?試験に通れば日本への永住と家族の帯同を認められる。中国よりも安全で快適な日本を選ぶのは明らかで、岸田政権は国民の雇用よりも中国人のための雇用対策をしているとしか思えない。

今の日本は中国企業の影響力が強くなったと聞く。そうなると日本の政治家は中国企業の財力の奴隷になっていると見るべきだ。こうなると今の日本の政策が国民よりも外国人優先になっている理由になる。

 

排斥される日本人

最近クルド人が現地で生活する日本人を排斥することが知られるようになった。一部地域でクルド人が多数派になると少数派の日本人は排斥される。これは安易な難民受け入れの典型例で、特定の地域に集めて生活させると現地民を排斥することはヨーロッパでも確認されている。端的に言えば国内に外国が作られるのだ。

これで特定技能制度が緩和されたら多数派の外国人と少数派になった日本人の対立構造となり日本人が排斥される未来は明らか。今でさえ独自の共同体を作り日本人を排斥するのだから、これ以上増加すれば日本人は国を奪われる。家族帯同も許されるなら日本各地に数万人単位で外国人の共同体が作られ、日本の警察が介入できない無法地帯が発生する。今でさえ警察が対応できないなら無法地帯が日本人を苦しめるのは明らかだ。

ソ連時代からロシアは隣国にロシア人を移民として送り出した。これは国家体制が変わってロシア連邦になっても続いた。その後ジョージアでロシア系移民が現地民よりも多数派になると移民自治を求めて選挙を行った。ロシア系移民が多数派だから移民自治が成立し、次は祖国への帰属を求めたのでプーチン大統領は自国民保護を名目にロシア軍を派遣した。これでロシア・ジョージア戦争(2008)に至っている。

外国人が多数派になると外国人参政権を求められたら?今でさえ外国人参政権を求める声が増加したので、さらに外国人が増加すると外国人参政権を求める政治家が増加するのも当然。選挙に当選するなら何でもする政治家もいれば日本を破壊したい政治家もいるのだ。ならば習近平は金を使い日本の政治家を操るのは自然の流れ。そうなると、ジョージアの様に移民自治が行われて国が奪われるか、外国人参政権で国を奪われるかの何方かだ。

 

選挙を甘く見るな

岸田政権は習近平のための政策をしているとしか思えない。国民よりも中国の人民のための政策をしているとしか思えない。日本は間接民主制だから政治家は選挙で選ばれた国民の代表。ならば選挙で国民・国防を優先する者を選ぶしかできないのが現状だ。

日本各地を見れば郷に入れば郷に従えを無視する外国人が増加した。受入国の日本を無視して独自の共同体を作り、自分たちの伝統・文化・風習を日本に要求している。多様性を唄いながら日本を否定して日本人に要求する。こうなると日本人が外国人を嫌うのは当然で、日本で生活する外国人が日本の伝統・文化・風習に従うのが筋だ。これは多様性を謳う政治家を当選させた結果だ。だから選挙を甘く見るな。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
戦争学研究家、1971年3月19日生まれ。愛媛県出身。九州東海大学大学院卒(情報工学専攻修士)。軍事評論家である元陸将補の松村劭(つとむ)氏に師事。これ以後、日本では珍しい戦争学の研究家となる。