迫害停止を求めて四半世紀 法輪功学習者のパレードに支持の声

2023/04/25
更新: 2023/04/24

中国発祥の気功修煉法「法輪功」の学習者は22日、東京都内でパレードを行い、24年間続く迫害に終止符を打つよう求めた。沿道の民衆は中国共産党の弾圧行為を非難し、学習者の訴えに耳を傾けた。人々はどのように共産主義政権のプロパガンダから目を覚まし、真実を探し求めたのか。当事者の生の声を聞いた。

社会全体を覆う恐怖

1999年4月25日、約1万人の法輪功学習者が中国の首都・北京にある陳情センターの周りで平和的な活動を行なった。シュプレヒコールはなく、看板も掲げないその静かな様子は、当時の中国においてまさに異例というべきものだった。

功法を煉る静かな環境を壊さないでほしい、違法に拘束された学習者を釈放して欲しい、そして法輪功関係書籍の出版を認めてほしい。これが彼らの要求の全てだった。同日夜、朱鎔基首相(当時)は学習者の代表を接見し、学習者の釈放を命じるとともに、気功の練習に政府は干渉しないと述べた。

しかし約束が守られることはなかった。当時、中国北部の小さな都市に住んでいたという于さんは取材に対し、陳情活動に参加した法輪功学習者はすぐさま監視対象になったと語った。

中国北部の小さな都市に住んでいた于さんは法輪功迫害が始まったときの様子を語った(大紀元)

「1999年当時、私はまだ中学生でした。地元の法輪功学習者の多くが陳情のために北京に行きました。彼らが戻ってきた後、その家の周りでは多くの私服警官が監視するようになりました」。

状況は刻一刻と悪化していった。「身の安全を考慮して、学習者同士の接触はめっきり減りました。街中で会っても、簡単なあいさつで済ませました。社会全体が恐ろしい雰囲気に包まれていました」。

平和的な陳情から約3か月後、中国共産党は突如全国的な弾圧を開始した。法的根拠を無視した拘束と監禁、拷問が各地で常態化し、数多くの学習者が命を落とした。

世紀の大嘘

「中国の法律は全くの飾り物です」と于さんは述べた。「共産党国家における法律はただの戯言(たわごと)です。凶悪な犯罪を犯した受刑者らは刑期を全うせずに釈放されるのに、善良な民衆は恣意的に拘束され、監禁されるのです。これは法律に対する冒涜であり、人権に対する侵害です」。

1992年に李洪志氏によって伝え出された法輪功は、その著しい健康増進効果により、保険制度が不完全だった中国で瞬く間に広まった。学習者の数は1億人を数えるとされ、中国最高指導部の家族にも法輪功を習う者がいたという。

そこで中国共産党は度重なる政治闘争で用いてきた世論戦を展開、迫害開始前から法輪功の名誉を毀損した。「科学界のならず者」と公認されていた中国科学院の何祚庥や言論人の司馬南に法輪功を攻撃する文章を書かせ、世論を誘導した。共産党宣伝部は機関紙に法輪功を誹謗中傷する記事を掲載させ、さらに各紙には転載を命じた。これは「名誉を失墜させろ」という江沢民の考えに基づく策略だった。

于さんは当時の状況について「中国共産党系メディアは完全に党のマウスピースでした」と振り返る。「一人の中共メディア関係者はこう言いました。『私たちは党の犬だ。主人の命令で誰にでも噛み付く。主人の気が済むまで噛み続ける』と」。

天安門焼身自殺事件も世論戦の一環だった。2001年1月23日、北京の天安門広場で男女5人が焼身自殺を図ったが、軍関係者の証言と映像分析などにより、中国共産党の自作自演と明らかになった。共産党のネガティブキャンペーンについて、米タイム誌は「(事件は)法輪功の弾圧を正当化する材料を手にした」と報じ、米CNNは「文化大革命や朝鮮戦争を彷彿とさせる」と伝えた。

「法輪功は佛の道を歩む修煉法です。殺生は厳しく禁じられており、自殺はなおさらです。共産党がでっち上げた事件を、メディアを通して大々的に宣伝しているだけです。そして事情を知らない民衆を騙すのです」と于さんは述べた。

日本人の目覚め

法輪功学習者が長年にわたって真実の情報を発信することにより、中国共産党の嘘とプロパガンダは次々と暴かれた。その過程で多くの日本人が法輪功について興味を持ち、自らその効果を体験している。

パレードの先頭を行く法輪大法天国楽団(盧勇/大紀元)

法輪功を始めてから約1年という戸田章さんは「素直な気持ちで修練できる。何のわだかまりもなくできますから、それが最高の魅力ですね」と語った。「非常に純粋な考え方で、欲やお金に関することを一切抜きにして、子供の自分に戻れる感じです。これこそ自分が求めていた気功だと思いました」。

「実は私はすごく怒りっぽかったのですが、ちょっと一呼吸置くようになりました。気持ちを脇の方に置いて、客観的に自分を見て話せるような人間になってきました」と自身の変化について述べた。「李先生は本の中で、自分と正直に向き合うと書いています。自分をよく見せようという気持ちを取り去ることで、本当の気持ちで話すことができるように感じましたね」。

2000年代初頭に中国共産党がでっち上げた天安門焼身自殺事件については、「『あ、これは嘘だな』って思いましたね。法輪功をされている方は命を大切にして、健康面を非常に大事にする。自殺するはずははない」と考えたという。臓器狩り問題については、「(中国共産党は)ちょっと、精神的に歪み過ぎています」と非難した。

他県からパレードに参加した島本素子さんは取材に対し、法輪功を始めたことで物事の運びがスムーズになったと述べた。「人間関係や家族関係といった環境が随分と変わりました。今までは何かと物事が進まないことが多かったのですが、今では意図していなくても、自然と周りが手伝ってくれることが多く、その変化を肌で感じています」。

島本素子さんは法輪功に関する自身の体験談を語った(大紀元)

以前は「『これを言ったら駄目だな』と気を遣ってしまうことが多かった」という島本さんだが、今では「自分の思った通りのことを素直に意見として出せるようになり」、人間関係で気苦労することが少なくなったという。

「法輪功が本当に大好き」と島本さんは笑顔で語る。「一生の宝」として、日々法輪功の良さを友人に伝えているという。

民衆の声援

法輪功学習者のパレードは繁華街をおよそ1時間にわたって練り歩き、沿道の民衆からは応援の声が寄せられた。

荒川純一さんは、中国で法輪功学習者への弾圧が未だ続いている現状について「中国では日本で認められているような信教の自由がない」とし、「自分の都合のいい政策を作って、ちょっと何か言っただけで捕まえるような、そんな中国のやり方が蔓延するようでは困る」と述べた。

パレードを見ていた大学生の徳能さんは「中国で弾圧を受けている人が実際にいるんだなと感じた」と語った。現在の国際情勢から見ても、中国共産党に対して人権弾圧の停止を求める事は意義があるとし、「(日本)政府が積極的に外交的な立場を表明していくことが大事だ」と述べた。

会社員の小林英夫さんは、法輪功学習者を弾圧する「共産党の所業が正しく広まればいいと思う」と述べ、「頑張って下さい」とエールを送った。

時代の流れ

海外に秘密警察署を設け人権弾圧を続ける中国共産党の脅威は、世界各国で認識され始めている。同時に、長らく現代中国最大の闇とされてきた法輪功迫害にもますます焦点が当たるようになった。日本の国会では中国人権問題の究明に取り組む議員連盟が臓器狩り問題を取り上げ、政府官庁は渡航移植の実態調査に乗り出している。

1999年4月25日に行われた平和的な「4.25陳情」活動は、中国で生まれた新たな非暴力の運動として国際社会から注目を浴びた。それを記念して、世界各地の法輪功学習者は毎年この時期に迫害停止を訴える活動を行なっている。いっぽう、中国共産党の情報封鎖と洗脳教育により、いまだ多くの中国人は真実を知ることができないままだ。

時代の移ろいにかかわらず、法輪功学習者は今も善良な初心を保ち、平和的な活動を続けている。于さんはパレードについて、「法輪功とはなにか、改めて考える機会となれば幸いです」と述べた。

法輪功は法輪大法とも呼ばれ、今日では世界100カ国以上に伝わり、その主要な著作である『転法輪』は40カ国語に翻訳されている。

政治・安全保障担当記者。金融機関勤務を経て、エポックタイムズに入社。社会問題や国際報道も取り扱う。閣僚経験者や国会議員、学者、軍人、インフルエンサー、民主活動家などに対する取材経験を持つ。
大道修
社会からライフ記事まで幅広く扱っています。