米下院委、トランプ氏訴追する検事の公聴会開催へ 「犯罪に寛大な」方針を問題視

2023/04/11
更新: 2023/04/11

米国の下院司法委員会は10日、トランプ前大統領の刑事訴追を主導するマンハッタン地区検事アルビン・ブラッグ氏の「犯罪に寛大な」方針などを問題視して、17日に公聴会を開催すると発表した。開催についてブラッグ氏は政治的だと反論している。

「マンハッタンにおける凶悪犯罪の被害者たち」と題する公聴会は、ブラッグ氏が進める犯罪への寛大さや被害予防措置といった方針が「暴力犯罪の増加を招き、ニューヨーク市民にとって危険な地域社会をもたらしていることを検証する」という。

この動きはトランプ氏が起訴され、罪状認否が行われるという前代未聞の事態からわずか数週間後に発表された。

いっぽう、ブラッグ氏の事務所は予定されている公聴会を「政治的な演出」と非難。「公聴会は銃規制や違法な銃取引の停止など、公共の安全を高めるための取り組みには触れない」との声明をツイッターに投稿した。

ブラッグ氏は2022年1月に地方検事就任直後、大麻の軽犯罪や公共交通機関の不正乗車、ほとんどの不法侵入罪や売春を地方検事局が起訴しないと表明した。同氏はまた、非火器類武器の所持や住宅・商業の強盗、麻薬事件など特定の犯罪の刑を格下げするとしている。

共和党はブラッグ氏がこうした犯罪には寛大であるのに対して、トランプ氏を業務記録の改ざん疑惑で訴追したことは矛盾していると指摘している。

トランプ氏は、2016年の大統領選前にポルノ女優ストーミー・ダニエルズ氏に口止め料を支払い、その料金を不正に処理したことなど34の罪状で起訴されている。トランプ氏は法廷で無罪を主張し、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」では起訴を「魔女狩り」だと非難した。

いっぽうで、ブラッグ氏は発表した声明の中で「トランプ氏は2016年大統領選挙の際、業務記録を繰り返し改ざんし、投票に不利になる情報を隠した」と指摘。こうした犯罪行為は「ニューヨークの基本的なビジネス法に違反する」とトランプ氏を責任追及すると強調した。

共和党の調査

3月30日に米ニューヨーク州の大陪審がトランプ氏を起訴して以来、共和党はブラッグ氏の責任を追及すると断言している。

ケビン・マッカーシー下院議長は翌日の31日、「ブラッグ氏は大統領選挙を妨害しようと、私たちの国に取り返しのつかない損害を与えた」とツイートした。「彼は日常的に凶悪犯罪者を解放して国民を恐怖に陥れているのに、トランプ(前)大統領に対して我々の神聖な司法制度を武器化した。下院はアルビン・ブラッグ氏と彼の前代未聞の権力濫用の責任を追及する」。

米下院共和党のジム・ジョーダン司法委員会委員長をはじめとする3委員長は3月20日、トランプ氏の疑惑を調査しているブラッグ検事に対する調査を開始し、調査上の通信記録や文書、証言の開示を求めた。