夢に現れた「娘のお告げ」 香港人気モデルバラバラ事件の遺体発見のきっかけ

2023/03/01
更新: 2023/03/02

香港ファッション界のセレブでモデルの蔡天鳳さん(アビー・チョイ・28歳)がバラバラ遺体となって見つかった事件は、地元香港ばかりでなく各国メディアが相次ぎ報道している。

事件が注目されている理由は、著名人がバラバラに切断されるという残虐性だけからではない。彼女の元夫の父親で、元警察官の男が犯行に関与していたという点のほかに、実はもう1つ大手メディアでは報じられていない事実があるからだ。その事実とは、警察が「死者から告げられた場所」で遺体発見に至るという超常的な現象のことである。

母親の夢に現れて告げた「遺体のある場所」

チョイさんは2月21日、いつも通り娘が通う学校へ行くため、元夫の兄である専属運転手が運転する車に乗ったまま行方がわからなくなっていた。

当初、警察は彼女がどこに行ったのかわからず、手がかりすらなかった。しかし、チョイさんの母親が警察に提供した「地名」が遺体発見のきっかけになったという。

香港メディア・東網の報道によると、チョイさんの友人で元歌手の周英傑さんがチョイさんの母親を訪ねた際に、母親から「娘が私の夢に現れた」と聞いたという。

周さんによると、チョイさんは母親の夢の中で「私の体は、大埔という所にあるの。そこには犬とサルがたくさんいるわ」と告げたという。

母親は、一度もその場所に行ったことはなかったが、夢で見たことを警察に知らせた。警察がその手がかりをたどっていったところ、本当にその場所でチョイさんの体の一部が発見された。

それによって警察の捜索範囲が絞られ、遺体の発見や遺体を解体した場所を特定することにもつながった。「夢のお告げ」のおかげだ、と指摘する台湾メディアもあるほどだ。

元夫の一家を「芋づる式」に逮捕

チョイさんの遺体の一部は2月24日、元夫の父親が同月に契約した大埔区の賃貸住宅で発見された。この住宅からは、ミートスライサーや電動ノコギリのほか、冷蔵庫に入っていたチョイさんのものとみられる遺体の一部、寸胴鍋で煮込まれていた頭部などが見つかっている。

チョイさんは、1億香港ドル(約17億円)ともみられる資産をめぐって、元夫らとトラブルになっていたと地元メディアが報じている。地元警察は「殺人が計画的に行われた疑いが強い」とみて、元夫とその家族らを殺人などの容疑で逮捕した。

最近までファッション誌の表紙を飾るなど、香港でモデルやインフルエンサーとして活躍していたセレブのチョイさんは、逮捕された元夫の間に2児をもうけたあと離婚している。

チョイさんは後に、香港の著名なライス・ヌードルチェーン創業者の息子であるクリス・タム氏と再婚してさらに2児を授かり、合わせて4人の子の母親となった。

ただ、一部の現地メディアは、再婚相手とは入籍していない事実婚であると伝えており、それが元夫の家族による「遺産目当ての殺人」を誘ったとも言われている。

世界各地にある「夢のお告げ」の実例

おぞましい凶悪事件の全貌は、この後の捜査によって明らかにされるだろう。それにしても「夢のお告げ」で、事件の捜査が急展開するということが本当にあるのだろうか。

「何処にいても神様が見ている。悪いことはできない」。無神論を標榜する中国共産党は論外として、中国では昔からそのように言われてきた。犯人は誰にも見られていないと思っていたらしいが、もちろん神様は見ていたし、故人の霊が犯人の悪行を許さなかったようだ。

実は、夢の中に死者が現れて「お告げ」をしたり、第三者が夢のなかで犯行の場面を目撃することで事件解決に役立ったケースは、昔から世界中に数多く存在している。

例えば、1928年のある日、米ミシガン州マウント・モリスの町で、一人の大工職人が警察署を訪れた。彼は、夢の中で「少女が無残に殺害される光景」を見たため、警察に届け出たのだ。もちろん警察は当初、この「夢の中の目撃証言」を取り上げなかった。

しかし、実際にこの町では、若い女性や少女が殺害される猟奇的な事件が相次いで発生していた。犯人の手がかりが全く得られない警察は、大工職人が見たという「夢」を検証してみた。

すると、ひとりの人物が捜査線上に浮かんだ。アドルフ・ホテリングという、地元の教会の長老を務める名士である。犯罪とは全く無縁のように見えた人物だったが、警察署への同行を求められたホテリングは突然暴れ出した。一連の殺人事件の犯人は、この男だったのである。

死者が「夢」となって居場所を告げる

また、殺された「本人」が誰かの夢に出てきて、自分の遺体がある場所を教えることもある。

2008年、中国吉林省長白山市のある村で、血のついた衣服が発見された。衣服の持ち主は村民の張長成氏と推測された。張氏の自宅からも血痕が見つかったが、張氏本人は1週間前から姿を消している。警察は、一向に事件解決の糸口をつかめなかった。

事件から1週間後、張長成氏の姉が警察署を訪ねて「弟が夢に現れました。すでに殺されています。遺体は鉄道駅のレールの南側に埋められています」と告げた。夢に託された手がかりを頼りに捜索した結果、本当にその場所で遺体が見つかった。

悔しい死に方を経験し、死後に親族の夢に現れて、犯人逮捕や遺体発見につながるような手がかりを告げるケースは、昔から現代に至るまで数多く存在している。

もちろん、故人の死を悲しむあまり、生きていく力が失われた遺族の夢に現れて温かい言葉をかけるケースもある。

これらの不思議な現象は、人は肉体が滅んでも魂は存在し続けることを示唆しているのではないだろうか。

現世で悪事を働いた者は、その死後どこへ向かうのか。世界のどの信仰でも、天国や地獄が存在すると語り継がれている。

この世で悪事を働くことは、自ら地獄へ落ちる扉を開くことになるだろう、その時になったら、どんなに後悔してもしきれない。

(翻訳・李凌)

李大宇
時事コメンテーター。俳優。米拠点の衛星テレビ局・新唐人テレビ(NTDTV)で記者、キャスター、プロデューサーを務めた。19年からは自身の動画報道番組「新聞拍案驚奇」で中国を含む国際時事を解説する。台湾の「政経最前線」やNTDTVの時事解説番組「新聞大家談」「熱点互動」などにもコメンテーターとして出演。旅行や芸術が好き。カナダの非営利団体・新世紀影視基地(The New Century Film)でも俳優やプロジェクトマネージャーとしても活躍中。2022年10月、神韻芸術団が作る初のオペラ「美人計(王允施計除董卓)」にも出演。 新興プラットフォーム「乾淨世界(Ganjing World)」個人ページに多数動画掲載。