北朝鮮国民の苦難を覆い隠す軍事力誇示

2023/02/27
更新: 2023/02/27

国連の制裁が続き、深刻な経済危機により多くの国民が食糧やその他の必需品不足に苦労している中、北朝鮮の軍事力を誇示するパレードが、平壌の金日成広場で行われた。

2月8日の夜に開催されたパレードでは、核弾頭搭載可能な短距離・長距離ミサイルなどの兵器が登場した。 北朝鮮の金正恩委員長夫妻と軍幹部が、軍創設75周年を記念するこの行事を見学した。

国連安保理の制裁は、北朝鮮の核・ミサイル開発を対象に、武器や軍備の売却禁止、核開発参加者の資産凍結、同国との科学協力の制限などを行っていると、ニューヨークのシンクタンク、外交問題評議会(CFR)が2022年7月末に報告している。

北朝鮮は世界最貧国の一つだが、国内総生産の4分の1近くを軍事費に充てている。 2022年は、1日23発を含む、前代未聞のミサイル発射実験が行われたが、これは金正恩が公約とは裏腹に衣食住の不足よりも軍備に重点を置いている間に起こったことだ。

ワシントンDCに拠点を置くスティムソンセンターが発行するウェブサイト「38ノース」の2023年1月中旬のレポートは、「食料の入手可能性は、人々が必要とする最低量を下回る恐れが高く、ある指標では、1990年代の同国の飢饉以来最悪となっている」とした上で、 「金政権は破綻した経済モデルの維持を主張し、核開発計画にこだわり続けている」と指摘している。

2017年の国連の報告書で、北朝鮮国民のおよそ5人に2人が写真の子どもたちのように栄養失調であると判定されて以来、食糧事情は悪化する一方だ。 国連報告書は、衛星画像と経済データに基づいて推定したものだ。

北朝鮮の与党である労働党は最近、新たな農業生産目標の計画を発表したと、AP通信が2023年2月初旬に報じた。 AP通信によると、国営の朝鮮中央通信は、「農業発展のための正しい戦略を確立し、当面の農業のために関連措置を講じ…社会主義建設の全体的発展を促進することは、非常に重要かつ緊急な課題である」と報じたという。

国家の経済的衰退と食糧不足は、悪天候、不利な土壌、経済的失政、国際的制裁、新型コロナウィルスによる国内の各種制限などが原因であるとされている。

ロシアのウクライナ戦争は、食糧、エネルギー、肥料の世界価格を上昇させ、北朝鮮の苦境を悪化させたとAP通信は報じている。

また韓国の東亜日報は、北朝鮮が2000年以来初めて兵士の食料配給減量に踏み切ったことを2023年2月中旬に報じている。

金正恩は大陸間弾道ミサイルと核兵器の保有数を増やそうとしており、こうした動きは世界の緊張を高め、朝鮮半島の非核化交渉に支障をきたしている。 外交問題評議会によれば、北朝鮮の指導部は核兵器を国家の存続を保証する唯一の方法とみなしている。

韓国と日本は北との対決の可能性に備えている。一方、米国当局は日本と韓国が攻撃された場合、同盟国である日本への「鉄壁の」コミットメントを強調している。

Indo-Pacific Defence Forum
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