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「借りた剣」米国の技術で構築される中国の軍事力
中国共産党の核弾頭搭載可能な極超音速ミサイルは、少なくとも部分的には、米国の先進的核研究所で訓練された人々によって開発されたのである。
戦略情報会社ストライダー・テクノロジーズが2022年初頭に発表した調査報告書によると、現在まで、少なくとも162人のロスアラモス国立研究所のトップ研究者たちが、新しい兵器プラットフォームを開発するために、中国共産党に採用された。
報告書によれば、これらの科学者が中国のために行った研究により、共産党政権の軍事力を大きく前進させ、極超音速ミサイル、ジェットエンジン、深部地球貫通弾頭、ステルス潜水艦、無人自律型車両の開発に貢献したという。
ロスアラモスの元科学者によって行われた研究の多くは、現在、米国の国家安全保障を直接脅かしており、紛争が発生した場合には、米軍に対して使用される可能性が高い。
「ロスアラモスの元科学者は、米国と自由世界全体にとって一連の安全保障上のリスクをもたらす極超音速、ミサイル、潜水艦計画に著しい貢献をしてきた。現在も続いている」と報告書は指摘する。
また、報告書によると現在中国共産党と軍事機構に雇用されている162人の科学者のうち、少なくとも59人は、中国の海外高度人材招へいプログラム「千人計画」の一員である。中国はエリートプログラムにより教育を受けた華僑を本土に招へいし、世界トップの科学技術強国を目指している。
こうした同様の事例は、政府全体にわたって起こる可能性も高い。「米国政府が資金提供する研究所、学術研究機関、そして主要なイノベーションセンターの間でも、採用活動が広まっている可能性がある」と報告書は指摘。
「これらのプログラムは、納税者の資金で行われる研究を活用して、中国の経済発展と軍事的近代化を推進している」
しかし、中国の急速な軍事近代化は兵器プラットフォームだけに留まらない。これを理解するには、それらの兵器自体が依存しているシステムを深く調べることが重要である。
人工知能と量子コンピューティング
フレミング氏は、中国共産党は米国の技術開発を飛躍させることができる人工知能と量子コンピューティング、半導体などの次世代研究に重きを置いていると述べた。
「中国の軍事技術のほぼすべては、米国と自由世界の同盟国から盗んだ知的財産に基づいて構築されている。以前、ロシアとの間で結んだパートナーシップによって盗んだ知的財産は限定的である」
要するに、共産党政権はビッグデータを分類して活用するAI、そのAIに前例のない処理能力を与える量子コンピューティング、そしてその量子コンピューティングを行うための半導体を求めている。
しかし、中国共産党は、これらの重要で創発的な技術をどのような目的で使おうと考えているのだろうか。
一言で言えば「戦闘」だ。
ジョージタウン大学セキュリティ新興技術センター(CSET)が発表した2022年の報告書によれば、人民解放軍はAIを戦闘および戦闘支援技術に適応させることにより「大きな進歩」を遂げたという。
重要なことは、共産党政権によるそうした技術へのアクセスの大半が、米国の知的財産に依存していることである。
報告書によると、人民解放軍が発行した6万6000件の公的契約のうち、AIアプリケーションに使用されるハイエンドの半導体チップの購入を扱ったのは24件件で、それらのほぼすべてが米国のメーカーからのものだった。
同様に、共産党政権の戦闘効果を向上させるという明確な目的の下、中国国内の軍事関連組織は米国のハイテク企業と積極的に協力し、AI能力の開発をさらに進めている。
たとえば、以前のCSET報告書によると、米国を拠点とするインテルが中国を拠点とする企業4パラダイムと調査を実施した。
その研究は、表面上は大規模なデータベース・メモリの最適化に関するものだった。インテルは、エポックタイムズに電子メールで、研究は本質的に学術的であると述べていた。
しかし、当時4パラダイム社は、中国軍の大隊や中隊レベルで使用するAIの意思決定や人間と機械の連携ソフトの開発を中国共産党と契約していたため、この研究はご破算になった。
ロスアラモスとインテルを起源とする研究が中国共産党政権に提供されたが、その方法は、公的または私的を問わず、米国の研究機関と中国共産党との関係について重要な疑問を提起している。
(つづく)
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