岸田文雄首相は13日の自民党役員会で、防衛費増額に際しては個人と中小企業に配慮しつつ、「日本人の暮らしと命を守り続ける」ために「責任ある財源を考えるべき」だと述べた。防衛力の抜本的強化とともに、「自らの暮らしを守り、国を守るという国民一人一人の主体的な意識」が何よりも大切だと訴えた。
茂木敏充幹事長が役員会後の記者会見で明らかにした。岸田首相は「経済あっての財政」との立場を示し、「検討に当たっては、個人の所得税が増加するような措置は行わない。中小企業に配慮するなどの前提を置いた上で検討を進めてもらう」と述べた。
岸田首相は激変する世界の安全保障環境に言及し、「新たな脅威に対し、ミサイル・戦闘機等の防衛能力を抜本強化」することで国民の暮らしと命を守ると強調。「今を生きる国民が自らの責任としてしっかりとその重みを背負って対応すべき」だと語った。
ロシアとの交戦状態が続くウクライナ情勢に触れ、「自らの暮らしを守り、国を守るという国民一人一人の主体的な意識こそが何より大切なことはウクライナの粘り強さが示している」と述べた。
2027年度以降に必要な年4兆円の防衛費増加分のうち、3兆円を歳出改革、余剰金、税外収入の活用、加えて税収増の上振れ、更なる税外収入の活用を優先的に防衛費にあてる防衛力強化資金という仕組みを構築することにより捻出し、残りの1兆円強を増税でまかなう。
増税の時期について茂木幹事長は「24年度以降の適切なタイミングに、その年度の不足分を充足する段階的な導入で議論が進むのではないか」との見通しを示した。
日本は長らく防衛費を対GDP比1%の枠内に収めてきた。岸田首相は今回の防衛力の抜本強化について「安全保障政策の大転換で、時代を画するものだ」との考えを示した。
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