米国国防総省、B-21レイダー・ステルス爆撃機を発表

2022/12/11
更新: 2022/12/11

中国との将来的な紛争の可能性が高まる中、2022年12月に米国国防省は何年も極秘に開発が行われてきた米国の最新核搭載可能なステルス爆撃機を発表した。

B-21レイダーは、米国でここ30年以上で初めて開発された爆撃機だ。 このプログラムのほぼすべての情報は機密扱いになっている。

12月2日の夕暮れ、カルフォルニア州パームデールにある米国空軍のプラント42で厳重な警備の中で開催された式典でレイダーは初公開された。 式典は、現役の3機種の爆撃機、B-52ストラトフォートレス、B-1ランサーおよびB-2スピリットの儀礼飛行から始まった。 次に、ハンガーのドアがゆっくりと開けられ、B-21の機体が部分的にハンガーから引き出された。

米国国防総省のロイド・オースティン長官は、「これは、単なる新しい飛行機ではない。 これは、我々すべてが愛する国であるアメリカを防衛する意思を具体化したものだ」と述べた。

B-21は、これまでの反テロリズム活動から最近の中国の迅速な軍備近代化に対応するために転換された、地上のサイロから発射される弾道核ミサイルと潜水艦から発射される核弾頭などを含む核の3本柱の全ての柱を近代化する国防総省の取り組みの一環だ。

国防総省の中国に関する年次レポートで、中国は2035年までに1,500発の核装備を展開する予定で、極超音速技術やサイバー戦、宇宙戦の能力が高まっていることを受け、「米国の安全保障と自由で開かれた国際システムに対する最も重要で組織的な挑戦だ」と述べた。

2015年にレイダーの契約が発表されたとき、デボラ・リー・ジェームス米国空軍長官は、「将来中国やロシアとの関係で直面しうる脅威など、さらに複雑な脅威に対応するため、21世紀に向けた新しい爆撃機が必要となった」と述べた。

爆撃機を製造したノースロップ・グラマン社の最高責任者、キャシー・ウォーデン氏は、レイダーの外見はB-2に似ているが、その性能は大きく異なると述べている。

ウォーデン氏は、「最新のコンピュータ技術の飛躍的進歩により、B-21の計算能力や操縦性はB-2と比較しても格段に進化している」と述べた。

オースティン国防長官は、その他の変更点として、爆撃機を探知しにくくするための最新のコーティング剤が使用されていることを挙げた。

オースティン国防長官は、「50年におよぶ低被観測性技術の進歩がこの爆撃機に組み込まれている。 どんなに高機能な防空システムでも、B-21の探知に苦労するだろう」と述べた。

防衛アナリストは、この他にも、敵のレーダーをだまして別の物体に擬態するための電磁波の放出をコントロールする新方式や新しい推進技術が含まれている可能性があると指摘している。

ウォーデン氏は、「可観測性を驚くほど下げることが可能だ。 たとえ音が聞こえても、どこにいるか見えない」と述べた。

現在6機のレイダーが生産中だ。 空軍は、核弾頭および通常爆弾を搭載可能で、有人・無人操縦の100機を生産する予定だ。 空軍とノースロップ社は、契約から発表まで7年しかかからなかったレイダーの迅速な開発速度についても挙げている。 他の新規戦闘機や艦艇のプログラムは通常数十年程度の期間が必要だ。

爆撃機のコストは発表されていない。 空軍は以前2010年当時の1機の平均価格として770億円相当(5億5,000万米ドル)、現在の価格で957億円相当(7億5,300米ドル)、としていたが、実際にどれだけが使われたかは発表されていない。 総額は、国防総省が何機購入するかによる。

オースティン国防長官は、「我々は、近い将来この爆撃機を飛行させ、試験し、そして生産を始める。 そして、将来の戦術的環境に適した数で、爆撃軍を構築する予定だ」と述べた。

ウォーデン氏によると、1942年に東京を空襲したドーリットル空襲から命名されたB-21レイダーは、航続距離を延ばすためにB-2よりも若干小さくなっている。 初飛行は2023年以降となる。

Indo-Pacific Defence Forum