ドイツのデュイスブルク市は中国の通信機器最大手、華為(ファーウェイ)とのスマートシティ提携を解消した。市当局は中国とロシアの関係が一因としている。香港の英字新聞・サウスチャイナモーニングポストが9日付で報じた。
報道によると、デュイスブルク市とファーウェイの協力協定は今年10月に切れており、提携更新は未定とのこと。現在、ドイツ政府と欧州連合はロシアと中国の関係を考慮して、ファーウェイとの提携を更新できるか評価中だという。その一つの要因として、中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻前の首脳会談で発表した「限界のない」協力を宣言した共同声明を挙げた。
2018年に締結された覚書では、ファーウェイがデュイスブルクを「伝統的な工業都市からサービス指向のスマートシティに」変革し、高度な5G技術を使って行政、港湾物流、教育、交通インフラを近代化させるとした。
しかし、中国共産党との繋がりが深いファーウェイの情報収集にはセキュリティリスクが指摘されてきた。中国のデータ法制では、国営民間問わず、中国企業は当局に対する情報提供義務を負う。こうした背景から、前トランプ政権は政府機関の調達からファーウェイの通信機器を禁止した。後にファーウェイは、多数の米国テクノロジー企業から企業秘密を盗むことに共謀したとして起訴され、米連邦通信委員会(FCC)から国家安全保障上の脅威と指定されている。
中国傾斜が目立ったメルケル前政権と異なり、ショルツ政権は政治的に中国と距離を取る姿勢を示してきた。しかし、経済関係を深く構築してきたドイツは、中国依存から脱却できず「経済的な利益を優先させている」との批判も出ている。
ドイツは10月、中国の国有海運大手によるハンブルク港のターミナルへの出資を認めた。いっぽう11月9日には、一時容認した中国系企業によるドイツの半導体関連企業の買収を、不許可とする閣議決定を行った。秩序と安全保障を脅かす可能性があると判断したという。
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