史上最もシャープな画像でとらえた海王星の環 = ウェッブ宇宙望遠鏡

2022/10/25
更新: 2022/10/25

 米国航空宇宙局(NASA)は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した海王星の初画像を9月21日に公開しました。 この画像は、海王星の環(リング)をここ数十年で最も鮮明に映し出したものです。

実際の写真はこちらから

 NASAの探査機ボイジャー2号(Voyager 2)が1989年に海王星の近くを飛行して観測を行ったと、NASAが9月21日に報告しました。 30年以上もの間、海王星のリングは完全には検出されませんでした。 ウェッブ宇宙望遠鏡による画像では、海王星の細いリングが見どころとされています。

 「このかすかな塵に満ちた環を最後に見たのは30年前です。赤外線で見たのは初めてです」と、ウェッブ宇宙望遠鏡の科学者で海王星系の専門家であるハイディ・ハメル(Heidi Hammel)氏は言います。

 1846年以来、科学者たちは海王星を研究してきました。太陽系外縁部にある惑星で、太陽から非常に遠いところにあります。海王星から見た太陽は小さく、色が薄く、地球で見る微光のように淡いものです。

 海王星は、その内部の化学組成から巨大氷惑星に分類されます。 ガス惑星である木星や土星に比べ、海王星は水素やヘリウム以外の元素を多く含んでいます。ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した可視光線画像では、海王星は青く見えますが、これは少量のガス状メタンによるものです。

 

ハッブル望遠鏡で見た青い海王星 (NASA)

 海王星には14個の衛星があることが知られています。 ウェッブ宇宙望遠鏡は、今回そのうちの7つを捉えました。 画像上部の非常に明るい点は恒星ではなく、海王星最大の衛星トリトンです。

 

ウェッブ宇宙望遠鏡によって撮影された海王星の 7 つの衛星 (NASA)

 トリトンは海王星の周りを、惑星の自転と反対方向に公転する珍しい逆行軌道で回っています。 トリトンはもともと海王星の軌道の外側にある小惑星帯「カイパーベルト(Kuiper belt)」にあった天体で、海王星の引力によって捕獲されたと推測されています。

 海王星の公転周期は164年です。 そのため、その北極(画像上部)を見ることはできませんが、ウェッブ宇宙望遠鏡の画像では、その領域に魅力的な明るい光を見ることができます。 また、この画像には、その南極の渦がはっきりと写っており、科学者たちは以前からここに渦があることを知っていました。

(翻訳編集 源正悟)