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流星雨はなぜ予測が難しい? 科学者が解き明かすその理由

長年にわたり、流星雨がいつ地球を訪れるかは、天文学の分野でも予測が難しい現象でした。最近、宇宙における生命の起源を探る非営利団体「SETI研究所」が、この予測の難しさの原因は惑星のランダムな重力によるものではなく、実は動いている太陽系の重心が影響していることを発見しました。

科学者たちは、確認されている500の流星雨のうち半数以上が、長周期彗星(LPC)によって引き起こされており、これらの彗星は地球の軌道付近を通っていることを明らかにしました。こうした彗星は、地球に潜在的な脅威をもたらすだけでなく、宇宙船にとっても危険となり得ます。現在、軌道周期が4000年未満で、十分な流星物質を持つ長周期彗星だけが、私たちが観測できる流星雨を生み出しています。

これらの長周期彗星の軌道周期はすべて200年以上で、太陽系内に戻ってくるたびに、その軌道は以前と大きく変わります。彗星が太陽に近づくと、「流星体」と呼ばれる塵や破片を放出し、それが彗星の軌道に沿って緩やかな粒子の帯「流星体流」を形成します。これらの粒子の一部は拡散しますが、大部分は彗星の軌道の範囲内にとどまります。

これまで天文学者たちは、長周期彗星やその流星体流の軌道を太陽を中心にシミュレーションしていましたが、予測の精度には限界がありました。

今回、アメリカ・カリフォルニア州のSETI研究所は、長周期彗星とその流星体流の軌道進化の不確実性の主な原因が、惑星のランダムな重力ではなく、動く太陽系の重心の運動であることを突き止めました。この研究成果は、4月20日付の『イカロス(Icarus)』オンラインジャーナルに発表され、またピーター・ジェニスケンスの著書『地球流星雨図集(Atlas of Earth’s Meteor Showers)』にも収録されています。この本は、2025年のアメリカ出版協会「PROSE図書賞」の最終候補にもなっています。

研究者たちは、200以上の長周期彗星が残した流星体流について、動的なモデルと年齢の解析を行い、それらの破片の痕跡から元となった彗星本体を追跡する方法を模索しています。

これまで、天文学者たちは流星体の軌道が広がっていくのは、主に惑星の重力の影響だと考えていました。しかし、今回の研究チームは、実は太陽自身が「太陽系重心」を中心に動いていることが、最も重要な要因だと突き止めました。この重心とは、太陽とすべての惑星の質量バランスによって決まる点で、太陽の内部には完全に収まらず、すべての惑星がこの重心を中心に周回しているのです。

研究者たちはさらに、太陽系重心の動きによって「流星体流」が地球の軌道の内側と外側を行き来することに注目しました。木星や土星が軌道上のある位置に戻ると、これらの流星体流が再び「流星雨」として地球の空に現れる可能性が高くなります。

その理由は、木星と土星の重力が太陽の重心運動に影響を与えていることが分かったからです。木星の公転周期は約12年、土星は約30年で、両者が同じ位置関係に戻るのはおよそ60年に一度。この周期で流星雨が再び出現する可能性があるのです。

研究者たちは、流星群に含まれる流星体が太陽と出会うタイミングによって受ける力が異なるため、長い時間をかけて軌道が蛇行しながら広がっていく様子が見られると説明しています。このランダム性は、太陽が重心軌道上で位置や速度を変化させることで生じます。

惑星の重力も依然として、流星体の歳差運動や軌道の変化に影響を与えますが、今回の研究は、太陽の微細な運動が流星雨の性質を理解する鍵であることを示しています。これは、太陽を不動の基準としていた従来の天文学モデルに対する新たな視点を提供し、流星雨の発生時期や強さを予測する新たな方法となるでしょう。

SETI研究所およびNASAエイムズ研究センターの研究者であり、流星天文学者のピーター・ジェニスケンスは、研究所のニュースルームで次のように語っています。「1995年当時、流星雨の予測はまだ初歩的で、多くの人はその予測が天気予報のように難しいと考えていました」

さらに彼はこう続けます。「私たちはスペインで流星雨を観測し、約40分間、ほぼ毎分明るい流星が夜空を横切る『真夜中の星の落下』現象を目撃しました。それ以前にもコンピューターモデルで流星体が地球の軌道の内外を移動し、太陽の動きに影響されていることは示せていましたが、その主な原因はまだはっきりしていなかったのです」

本研究の主著者であるSETI研究所のスチュアート・ピローズは次のように述べています。「従来の考えとは異なり、太陽系のすべての天体は太陽を中心に回っているのではなく、惑星とともに太陽系重心(バリセントリック)を中心に運動しているのです」

さらに彼はこう説明しています。「私たちは通常、太陽を基準に数値モデルを作成します。これは太陽が最も質量が大きく、相対論の計算がしやすくなるからです。しかし、長周期彗星はそのほとんどの時間を太陽系の外縁で過ごしていても、やはり太陽系重心の影響を受けており、数百年ごとに太陽に近づく際には木星や太陽の重力の影響も受けるのです」

ピローズはまた、「今回の研究で最も重要な発見は、彗星が太陽に近づいたとき、太陽の運動によって加速されたり減速されたりし、それが流星体の拡散につながるという点です。これは宇宙船が惑星の重力を使って加速するのと似ています。もし太陽の運動を無視すれば、彗星や流星体が時間の経過とともにどう拡散していくかを説明できません」とも述べています。

(翻訳編集 里見雨禾)

吳瑞昌