日本にも浸透していた「中共の歌」【現代中国キーワード】

2022/09/12
更新: 2022/09/17

紅歌
「紅歌」とは、毛沢東(および中国共産党)を賛美した歌曲全般をいう。

代表的な紅歌は、抗日戦争期や国共内戦のころの歌ではなく、その後である政権奪取後の中共の歌、とくに文化大革命期に量産されたプロパガンダ歌曲であることが多い。

これらは映画のほか、オペラやバレエ、演劇などの舞台芸術にも盛んに使われた。日本人にもよく知られた中国の京劇は、清朝の皇帝が紫禁城に京劇専用の舞台を作るほど愛好したため、この時代に飛躍的に発展している。

その京劇にも、『白毛女』や『紅灯記』などの革命現代京劇が生まれた。いずれも政治性のつよい内容で、目いっぱい理想化された主人公と、日本人にはひどく違和感のある「日本の軍人」がでてくる。

その『白毛女』の劇中歌「北風吹」は、NHKラジオ『中国語講座』のテーマソングとして長く使われたので、それを懐かしく思う日本人も少なくないだろう。

さて、昔を懐かしがってばかりもいられない。中国において紅歌がタイムリーに歌われたのは、およそ半世紀前だが、この紅歌が今また復活しているようなのだ。

その背景には、あまりに不平等な現在の中国社会に対して、「昔は良かった」という素朴な懐古趣味がある。紅歌の時代を生きてきた人々の自己肯定感も、他者が否定することはできない。

しかし、中国の人々に衷心から言う。やはり「紅歌」は、やめたほうがいい。その歌詞にもメロディにも、人間に有害な共産邪霊が残留しているからだ。