英国政府はこのほど、国家安全保障上の懸念から香港企業による同国のソフトウェア開発会社の買収を禁止した。
英ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は現地時間17日、国家安全保障へのリスクを軽減するため、香港企業「スーパーオレンジHK」によるパルシック社の買収の中止を命じたと発表した。
パルシック社は最先端の集積回路の構築を可能にする電子設計自動化(EDA)のソフトウェア技術を保有している。この技術は軍事に転用することが可能だという。
香港企業を隠れ蓑にする中国企業
中国メディア財新網によると、スーパーオレンジ社は昨年8月、南京にある普信ソフトウェア社によって設立された。
いっぽう、普信ソフトウェア社は上海合見工業ソフトウェアグループ(以下、上海合見)の100%子会社であり、上海合見の大株主に中国政府が運営する半導体ファンドとインターネット投資ファンドが名を連ねている。
上海合見の総裁である徐昀氏は普信ソフトウェアの取締役でもあり、かつて中国の半導体に影響を与えた10人の女性経営者の1人に選ばれていた。
徐氏は昨年11月、中国メディアに対して「米国の技術に取って代わるだけでなく、業界のリーダーと肩を並べられるような世界規模の事業を構築したい」と語った。
上海合見はホームページで、EDAの分野を今後の技術開発の重点とすると述べた。
BEISのクワシ・クワルテング(Kwasi Kwarteng)長官は同日にツイッターを更新し、スーパーオレンジ社を「中国企業」と表現した。
英国では昨年4月から、国家安全保障を脅かす可能性のある産業等に対する出資を規制する国家安全保障・投資法を施行した。
先月、英国は初めて同法に基づいて、中国企業によるマンチェスター大学のビジョンセンシングに関する知的財産権の買収を阻止した。
(翻訳編集・李凌)
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