英国産業連盟(CBI)のトニー・ダンカー事務局長は、欧米での反中感情の高まりを見越して、英国内の数千の企業が中国との経済を切り離す「デカップリング」を進めていると述べた。
ダンカー氏はフィナンシャル・タイムズ紙の取材に応じ、コミュニケーションを取っているすべての企業は「サプライチェーンの見直しを行なっている」と強調。その理由として企業は「英国の政治家たちが中国から切り離された世界へと向かって進んでいくことは避けられない、と予測しているからだ」と述べた。
また、中国との緊張が高まるなか、英国は「世界における新たな戦略的同盟関係」を必要としていると発言した。米国では、中国との切り離しに備え、企業の「レジリエンス(強靭さ)」構築の必要性が「話題の中心になっている」という。
ダンカー氏によれば、中国の関係が悪化するにつれ、英国は新しい貿易相手を見つけ、欧州連合(EU)などとの関係を再構築する必要があるという。「再び良き友人となる必要がある」と語った。
強まる対中強硬姿勢
ジョンソン英首相の後任を選ぶ与党・保守党の党首選でも、対中国政策は主要な争点となっている。
決選投票に進むリシ・スナク前財務相とリズ・トラス外相はともに、中国共産党政権がもたらす国家安全保障と経済安全保障の脅威に向けた対中戦略を公約に掲げている。
トラス外相は、新首相になった場合、「北京の悪意ある影響力の拡大」に対抗するため、英連邦諸国との貿易を優先させるなど対中強硬姿勢で臨むと強調した。英連邦とはコモンウェルズと呼ばれ、旧大英帝国領土からなる56カ国の経済同盟。議長は英国首相が就く。
スナク氏は、中国共産党を「英国と世界の安全保障上の今世紀最大の脅威」と呼び、英国に30カ所ある孔子学院をすべて閉鎖するほか、中国からのサイバー脅威に対抗するために「自由主義国の新しい国際同盟を構築する」と主張している。
こうしたなか、英国の政府関係者や政治家は、英国における中国の経済的影響力の拡大に警戒感を強めている。
クワシー・クワルテン商務長官7月20日は、1月4日に施行された国家安全保障・投資法に基づき、中国企業がマンチェスター大学からスマートカメラ技術を取得することを阻止したと発表した。
同法に基づきクワルテン氏は、中国電子機器大手ウィングテック(聞泰科技)の子会社による、英半導体最大手ニューポート・ウェハー・ファブの買収に関する審査も主導している。
(翻訳編集・山中蓮夏)
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