中国、習近平氏らの国産ワクチン接種を初公表 有効性アピールか

2022/07/26
更新: 2022/07/26

中国衛生当局は23日の記者会見で、習近平国家主席を含む現職の指導者らが、国産の新型コロナウイルスワクチンを接種したと初めて発表した。国産ワクチン接種後、白血病糖尿病にかかったという訴えが相次ぎ、指導者らの接種状況の公表は、国民の不信感を払しょくする狙いがあるとみられる。

中国国家衛生健康委員会の曽益新副主任は会見で「すべての現職の党と国家指導者」は、国産の新型コロナウイルスワクチンを接種したと述べた。曽氏によると、最高指導部は国産ワクチンに「自信がある」と示している。

中国では、最高指導者の健康状態、コロナワクチン接種や隔離措置の実施はトップシークレットとして扱われている。

ワクチン接種で白血病か

中国インターネット上では5月、国産ワクチンの接種が原因で白血病を発症したと訴える患者グループが、公開質問状を公表した。質問状によると、患者らは2021年に国産ワクチンを接種した後、出血、咳などの症状がみられ、急性白血病と診断された。患者らは、中国政府に真相究明と救済措置を求めた。

同月、子どもが国産ワクチンを受けた後に1型糖尿病を患ったと告げる保護者グループも、公開質問状をネット上で投稿した。子どもらは、中国製薬大手のシノバック・バイオテック(科興生物)などのコロナワクチンを接種した。保護者らが提示した病院の検査報告では、子どもらの接種前の血糖値は正常だったが、接種後に数値が高くなった。

23日の衛生当局の記者会見では、中国解放軍総医院第5医学センター感染病医学部の王福生主任も出席した。王氏は国産ワクチンを接種しても白血病や糖尿病を発症しないと述べ、患者グループらの訴えは「ネット上の無責任で誤った発言だ」と批判した。

調査しようとしない政府の姿勢に対し、多くのネットユーザーは反発した。25日午前の時点で関連報道や投稿はネット検閲当局によって削除された。

有効性

中国政府は海外製ワクチンの輸入を禁止しているため、国内ではシノバック・バイオテックやシノファーム(中国国家医薬集団)が製造するワクチンのみが使用されている。

昨年12月、香港の研究チームがシノバック社製ワクチンのオミクロン株に対する有効性を調べた。研究チームは初期の試験結果として、同社のワクチンでは「十分な中和抗体が作れない」との結論を公表した。

また昨年8月、中国政府の感染症専門家の鍾南山医師は、国産ワクチンのデルタ変異株に対する有効性は59%にとどまると述べた。

中国当局が突然、指導者らの国産ワクチン接種を発表したことについて、ネットユーザーらは「パンデミックが始まって2年以上経ったのに、なぜ今となって公表するのか」「私たちを騙して、国産ワクチンを接種させ続けるためだ」などとコメントした。

張哲
張哲