[ジュネーブ 19日 ロイター] – 中国政府は、バチェレ国連人権高等弁務官が5月に行った新疆ウイグル自治区の視察に関する報告書を公表しないよう働きかけている。中国側が各国にこうした取り組みへの支持を要請する書簡を送ったことをロイターが突き止め、実際に3カ国の外交官が書簡を受け取ったことを認めた。
欧米の人権団体などはウイグル自治区で少数民族ウイグル族に対する強制労働などの人権侵害が起きていると主張、中国政府はこれを徹底的に否定している。そうした中でバチェレ氏がウイグル自治区を視察したが、中国への対応が甘すぎると批判を浴びた。その後バチェレ氏は8月末で退任する意向を示し、その前に視察報告を公表すると約束していた。
ただ3人の外交官らによると、中国政府は6月終盤からジュネーブの各国代表部に書簡を送付し、報告書が公表されることへの「重大な懸念」を表明。公表差し止めに向けて各国に支持の署名を要望しているという。
書簡には「(新疆の)視察結果が公表されれば、人権分野で政治化と陣営間の対立に拍車がかかり、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の信頼性にひびが入るほか、OHCHRと加盟国の協力関係が損なわれる。われわれは高等弁務官に視察結果を公表しないよう強く求める」と記されている。
ジュネーブの中国代表部の報道官は、書簡が送付されたかどうか、あるいはそれがどんな内容かには言及しなかった。一方で報道官は100カ国近くが最近、新疆問題で中国への支持と人権という名の下に内政干渉が行われることへの反対を明らかにしたと強調した。
中国外務省の報道官はロイターに、新疆問題で中国のイメージを傷つけようとする一部の国のたくらみは成功しないと力説した。
バチェレ氏自身がこの書簡を受け取ったかどうかは不明。OHCHRの報道官は、この問題に関するコメントを拒否した。
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