米国のラーム・エマニュエル駐日大使は12日、ツイッターを更新し、安倍晋三元首相の死を喜ぶ中国人ネットユーザーについて「悪いことに、彼らはこの暗殺を祝っている」と批判し、「中国はもっとましになれるはずだ」と苦言を呈した。
安倍元首相は8日、奈良市内で遊説中に銃撃され死亡した。直後、一部の中国人ネットユーザーはSNS上に安倍氏の死を嘲笑するコメントや映像を相次ぎ投稿した。なかには「お祝い」キャンペーンを始める店舗もあった。
中国メディア「ザ・ペーパー」の東京特派員・曾穎記者は事件当日、現場中継で「安倍元首相は常に日本のために行動していた」「中日両国の友好関係に大きく貢献した」と安倍氏の功績を讃えた。途中、涙声で言葉にならなかった場面があった。映像を見た中国人ネットユーザーは「この記者は中国人?それとも日本人?」「親でも死んだかのような号泣ぶり!」「こいつは日本に寝返った」などと罵詈雑言を浴びせた。
批判を受け、曾記者は自身のSNS微博アカウントで「いかなるテロ行為も称賛されるべきではない」と反論し、「これからも善良で正直な人でいたい」と批判に屈しない姿勢を見せた。中継中に涙をこぼした場面については、「プロ意識の欠如」と謝罪した。
大使は12日の投稿文で、「日本への支援と安倍氏のご遺族を思いやる声が世界で大きく広がっており、目を見張る思いだ」と一部中国人の言動が常軌を逸していることを指摘した。
さらに、「残念ながら日本在住の中国人報道関係者の一部が、人としての思いやりを示したという理由で本国のネット民から批判されている」と続け、曾記者の受けたバッシングが念頭にあるものとみられる。最後に「中国はもっとましになれるはずだ」と結んだ。
エマニュエル大使は、安倍元首相の死をめぐる一部中国人ネットユーザーの言動を批判した初めての外国政府関係者。
大使は安倍元首相が銃撃された当日、「悲しく驚いている。安倍さんは並外れたリーダーだ」とする声明を発表した。
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