中露の極超音速兵器の脅威に対応するため、米国防総省は、観測気球の研究に投資している。旅客機よりも高高度を飛行する気球を開発することで、極超音速兵器の探知や追跡能力を高めることが期待されている。
米国メディア「ポリティコ」の報道によると、米軍は高度2万7000メートルまで飛行可能な観測気球の配備を計画している。米国防総省は過去2年間、380万ドル(およそ5億円)の予算を投じたが、2023年度には2710万ドル(およそ37億円)の予算案が組まれている。
高高度気球は、米軍の複合的な監視ネットワークに統合される見通し。費用対効果に優れることから、世界中のミサイル兵器、特に中露の極超音速兵器などを追跡する人工衛星と相互補完的な役割を果たすことが見込まれる。
人工衛星の性能を補うため、米軍は何年もの間、高高度気球とドローンを使って情報収集を行ってきた。2019年には麻薬密売を取り締まる目的で、25個の偵察用の気球を配備した。
新しく開発される気球は太陽光発電が可能で、人工知能と機械学習を用いて上空を飛行しながら各種データを収集する。運用施設から遠隔操作ができるという。
ポリティコの報道によると、高高度気球の開発は、米国の航空・宇宙技術分野における予算編成の趨勢と一致しており、費用対効果に優れた技術で情報収集能力の補強を図っている。
(王文亮)
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