風力や太陽光発電は、代替しようとする従来技術よりも持続可能性がないことが証明される可能性がある。
2050年までに、世界中では4000万トン以上もの風力発電の『ブレード廃棄物』が排出されるといわれている。その廃棄物を処理するため、エンジニアリングと製造専門家は先進国政府に呼びかけ、現在建設中の多数の風力発電所についての『エンド・オブ・ライフ』計画を実施するよう訴えている。
南オーストラリア大学のピーター・マジェフスキー教授の研究によれば、オーストラリアでは、特に州政府と連邦政府が野心的なネット・ゼロ目標を推進しており、そのため10年後をめどに、数万枚にも及ぶ風力タービン・ブレードを処分する方法の確立が不可欠であるということだ。
現在、風力タービンの寿命は約20〜25年で、引退後はリサイクル、焼却、埋め立ての3つの方法で処分されている。しかし、後者は2025年までに欧州で禁止される予定であるという。
風力タービンのブレードは、物質のリサイクルが困難であるため廃棄されることが多い。
風力タービン・ブレードの製造で使われる炭素繊維やガラス繊維複合材料のうち、再利用できるのはわずか30%で、そのほとんどはフィラー材料としてセメント産業で使われている。
6月20日、マジェフスキー教授が発表した声明の中で、「再生には非常にコストがかかり、再生された材料の価値も非常に低いため、市場においてリサイクルソリューションとして実現する可能性は小さい。したがって、政策立案者は今すぐ介入し、今後数年間で寿命を迎える風力タービンのブレードをどう処理するのか計画する必要がある」と述べている。
消費者と企業が負担すること
マジェフスキー氏は、通信事業者におけるスマートフォンのリサイクルサービスを挙げて、風力発電においても「プロダクト・スチュワードシップ(編集者注:製品の原材料調達から生産・販売、廃棄・リサイクルの循環に社会的責任を持つ製品管理)」モデルを採用し、これを風力タービンのコストに組み込むよう働きかけている。しかし、この取り組みは消費者にとってコストアップになる可能性が高い。
「メーカーが耐用年数終了後のブレードの処理に責任を持つか、風力発電事業者が事業運営の計画承認プロセスの一環として耐用年数終了時のソリューションを提供しなければならない」と述べている。
「これには、皆に何らかのコストがかかるが、このような方法でエネルギーを生産するためのコストの一部として受け入れなければならない。このような解決策がなければ、風力や太陽光といったエネルギーオプションは、代替する従来型技術よりも持続可能性がないことが証明するかもしれない」と付け加えた。
新政府によるネット・ゼロの追求の活性化
最近、オーストラリア政府は、再生可能エネルギーの支持者を鼓舞し、より野心的な気候変動政策を追求するように促している。
中道左派の労働党政権は、2030年までに同国の排出量削減目標を26~28%から43%に引き上げると公約した。
同時に労働党は、オーストラリアの電力の82%を再生可能エネルギー(風力、水力、太陽光、バイオマスなど)で賄うよう、エネルギー網の整備も試みる予定である。現在、電力の64.67パーセントは石炭火力発電によっている。
また、州政府は、州レベルのネット・ゼロ目標、「気候非常事態」宣言、電気自動車充電網の整備、石油・石炭発電の開発制限などの政策を展開し、気候変動対策に大きく貢献している。
しかし、グリーンテクノロジーを追求し、ソーラーパネルや蓄電池に大規模な投資を行うことは、それなりのコストを負担することになる。
オーストラリアだけでも、2035年までに10万トンのソーラーパネルが廃棄される予定だが、そのほとんどは埋立地へ運ばれる運命にある。風力タービンと同様、ソーラーパネルのリサイクルは、企業にとってコストと時間のかかる作業である。
リチウムイオン電池に関して、CSIRO(オーストラリア連邦科学産業研究機構)は、オーストラリアでは年間約3300トンの電池廃棄物が発生し、2036年には10万トンに達すると推定している。現在、廃棄物のうちリサイクルされているのはわずか2%である。
さらに、ソーラーパネル、風力タービン、バッテリーの建設や製造が増えれば、現在原材料や完成品の多くを調達している、中国のサプライチェーンへの依存度も高くなる。
また、英シェフィールド・ハラム大学によると、中国西部の新疆ウイグル自治区は、世界のポリシリコンの45%(太陽電池の95%に必要)を生産しているとのことで、新疆ウイグル自治区は、少数民族ウイグル族への迫害が厳しく問われる地域である。
調査結果によれば、ウイグル地域のすべてのポリシリコンメーカーは、強制労働移転プログラムへの参加と参加企業から原料供給を受けていることを報告しているということだ。
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