元米国国連大使のアンドリュー・ブレンバーグ氏によれば、5月に香港で起きたジョセフ・ゼン枢機卿(90歳)の逮捕は、北京が、香港の金融ハブでの自由に対する締め付けを強化している中、宗教の自由に対して弾圧を広げてきたことを示唆するという。
5月11日、香港警察は、香港のデモ参加者を支援する基金につながっていたとされる90歳のゼン氏(元香港カトリック教会長)を他の民主派4人とともに逮捕した。この逮捕は、香港における反対意見の弾圧に利用されてきた2020年6月に北京が課した国家安全保障法に基づいて行われた。
ブレンバーグ氏は、大紀元姉妹メディアの新唐人テレビ(NTD)のインタビューで、「逮捕までの数カ月間、国営メディアでは宗教の影響力に対する中国共産党の懸念が繰り返し取り上げられていた。これは、より大きな取り締まりと逮捕のための土台作りだった」と語った。
ゼン氏は長年、香港と中国本土における『宗教と市民の自由』を擁護し、国家安全保障法の施行や中国におけるローマカトリック教徒への迫害など、共産党政権の権威主義の高まりに対して発言してきた。
ワシントンにある共産主義犠牲者記念財団の代表であるブレンバーグ氏は、「ゼン氏に対する疑惑は、中国政権が彼を拘束するために使った口実である。彼らは、逮捕するためならどんな口実でもでっち上げる。私たちはそれを見てきた」と述べた。
ブレンバーグ氏によれば、今日の香港における北京の宗教弾圧は必然的なものだったという。
また、「中国共産党の香港に対する広範な弾圧、香港の民主主義と自治の破壊の一環として、明らかに、今では、宗教弾圧の強化につながっている。これまで、共産主義政権は著名な宗教指導者を逮捕し、嫌がらせをした歴史がある。過去100年の共産主義体制を通じて、宗教、教会、その他の宗教的人物が常に共産主義への脅威とみなされてきたことを見て来た」と彼は言った。
さらに、1948年に逮捕され終身刑を宣告されたハンガリーのカトリック最高幹部、ヨーゼフ・ミンツェンティ枢機卿のケースを取り上げた。枢機卿は1956年のハンガリー革命で釈放され、その後、ソ連軍が反共デモを鎮圧するためにハンガリーに進駐すると、ブダペストの米国大使館に逃げ込んだ。1971年まで大使館の敷地内にいたが、その後ウィーンに追放された。
「米国人は、ゼン氏の逮捕を憂慮すべきである」とブレンバーグ氏は言う。「宗教の自由は、常に米国の生活様式の基盤である。米国の建国は、ヨーロッパから信仰の自由を求めて米国にやってきた移民に由来する」と指摘した。
「宗教の自由に対する弾圧は、どのような政権であっても、迫害や全体主義、全面的な人権侵害が強まるときの最初の兆候であることが多い」と述べている。
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