ドイツのオラフ・ショルツ首相は27日、中国が世界中で行っている「不透明な融資」は、新たな債務危機を引き起こす恐れがあると警鐘を鳴らした。
ショルツ首相はシュツットガルト(バーデン・ヴェルテンベルク州)で開催されたカトリック教会の討論会で、「中国の不透明な融資が発展途上国や新興国への脅威となっている。新たな債務危機を引き起こしかねない」と批判した。
中国は巨大経済圏構想「一帯一路」を通して低所得国に巨額の融資を提供し、「債務のワナ」を仕掛けていると批判を受けている。
ショルツ氏は、欧州連合(EU)が昨年12月に発表した3000億ユーロ規模の世界投資構想「グローバル・ゲートウェイ」についても言及した。同構想は中国の「一帯一路」に対抗する「真のもう一つの選択肢」になるとしている。
同氏はさらに、「ドイツは経済的な懸念から中国の人権侵害への批判を避けるべきではない」「ドイツ経済は多角化を進めて中国への依存を弱めるべき」と指摘した。
同氏は、中国政府による新疆ウイグル自治区での人権迫害についても言及し、「我々はこの問題で沈黙することはない」と強調した。
中国はドイツの主要な貿易相手国だが、「独ショルツ首相の対中態度の変化は、同国の対中政策の変化の一部である」とブルームバーグは指摘した。
VWの中国投資への保証を拒否へ
ドイツ経済省は27日、独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の中国での新規投資に対する保証を拒否した。中国の新疆ウイグル自治区での人権侵害を理由に挙げている。ドイツ誌「シュピーゲル」が報じた。
同国のロバート・ハーベック経済・気候保護相(緑の党)は24日、新疆の人権侵害に関する新たな報道を受け、「人権問題の優先度を高めていく」と述べた。
ハーベック氏は「経済の多角化を図り、中国への依存を弱める。また、ドイツ企業の中国投資申請の際には、人権侵害や強制労働などを排除すべく綿密な審査を行う」としている。
人権を理由に投資保証が拒否されたのは今回が初めて。
「ドイツは今後、人権をより優先させる。中国の投資プロジェクトはいずれ禁止になるだろう」とハーベック氏は明かした。
(翻訳編集・李凌)
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