米国株は荒れ模様…予想される景気後退とその対策

2022/05/22
更新: 2023/02/22

ゴールドマン・サックスの元CEO、ロイド・ブランクファイン氏は、日曜日にCBSと景気後退の話をした中で、 景気後退が「非常に、非常に高いリスク要因である」と付け加えた。

GDPの縮小を警告しているのは、ブランクファイン氏だけではない。ウォール街のアナリストの多くは、今後12か月から24か月の景気後退が予測のベースケースになり得ると、懸念するようになっている。

モルガン・スタンレーは、今後の12か月間で景気後退が起こる確率を3月の5%から27%に上昇すると予測した。モルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメントの最高投資責任者リサ・シャレット氏は、週報の中で「現在インフレは拡大し、より長く高止まりする可能性がある。これは長期的なインフレ期待に上向きの圧力をかけ、FRBの政策加速モードを維持するシナリオである」と書いている。

ミネアポリス連邦準備銀行のニール・カシュカリ総裁は、ミシガン州のタウンホールイベントで、次のように語った。「インフレ率を下げるために、FRBが景気後退に誘導する必要があるのかは不明である。経済学者が頭を悩ませているのは、インフレ抑制のために需要を下げれば、経済後退につながるのではという不透明感であるが、予測できないことだ」と。

この話は、インフレに対するFRBの取り組みの遅さを認めたバーナンキ前FRB議長が、ニューヨーク・タイムズ紙に「米国がスタグフレーションに陥る可能性がある」と発言した後になされたものだ。

コンファレンスボードのCEO調査によると、多くのCEOが景気後退を覚悟している。この指標は、第1四半期の57から第2四半期には42に落ち込んだ。CEOは、FRBの量的引き締めが、今後数年間のインフレ対策に役立つと考えているが、その取り組みが景気後退を誘発することも懸念している。

コンファレンスボードのチーフエコノミストであるダナ・M・ピーターソン氏は、「ウクライナ戦争や中国のCOVID規制が招いた、物価上昇やサプライチェーンの課題に経営陣が直面しており、CEOの自信は第2四半期にさらに弱まった」と述べている。「将来の状況に対する期待も暗く、経営陣の60%が今後6ヶ月の間に経済が悪化すると予測している。前四半期の23%から顕著に上昇した」。

バンクレートの上級副社長兼チーフ・ファイナンシャル・アナリストのグレッグ・マックブライド氏は、「第1四半期に起きたGDP縮小の原因は貿易赤字と在庫調整であり、景気後退の兆候ではなかった。景気後退の心配は2022年ではなく、2023年か2024年に起きる公算が高い」と大紀元に語った。

マーケットストラテジストのサンカー・シャルマ氏もこの意見に賛同し、大紀元に対し、「現在リセッションの兆候は広まっていないが、2023年か2024年に形成される可能性がある。米国は、失業率が非常に低く、何百万もの求人があり、企業や銀行のバランスシートは強固で、財務体質も業績報告も健全であるという環境にいる。今日のホーム・デポとウォルマートの決算を見ても、消費者は依然支出を続けており、信用市場もストレスに晒されていない。住宅需要も急激に減速しておらず、銀行の資本も充実していることがわかる」と語っている。

市場の未来を読む

2022年現在米国株は荒れ模様となっており、主要なベンチマーク指数は2年間の急成長の後に勢いを失った。

ダウ工業株30種平均は約12%下落、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は25%、S&P500は約16%急落している。

今年、国債市場と米ドルインデックス(DXY)は急騰した。商品価格は高騰し暗号通貨は暴落している。

マックブライド氏は、「市場は先見性があるので、投資家は企業業績の低迷をかなり前から織り込んでいるため、企業が第4四半期に発表する2023年の業績ガイダンスが鍵となるのかもしれない」と語った。また、「インフレが後退し、FRBの金利引き下げが景気後退の歯止めになると受け止められれば、債券価格は、今年これまでの下落分をある程度取り戻すだろう。しかし、今後1年かそこらで展開されるインフレ、FRBの政策、経済の健全性などの多くの要因に左右されるだろう」と述べた。

マックブライド氏によると、米国の家計が採用すべき最良の戦略は、負債の返済、緊急時の貯蓄の増強、そして市場の低迷を利用することだという。

バンク・オブ・アメリカによる月例ファンドマネージャー調査によれば、投資家はすでにキャッシュポジションを増やし始めていることが明らかになった。これによると、資産運用会社の平均現金残高は6.1%で、投資家が9月11日のテロ事件以来の高水準で現金をため込んでいることが示唆されている。

「こうした動きは、金融市場の「極端な弱気」にスポットライトを当てた事の反映である」とストラテジストは主張している。

(翻訳・大室誠)

アンドリュー・モランは10年以上にわたり、ビジネス、経済、金融について執筆。「The War on Cash.」の著者。