圧迫される言論の自由 私はソ連時代の作家なのか

2022/05/22
更新: 2022/08/08

ここ数週間、私のツイッター、フェイスブック、インスタグラムのアカウントが理由もなく全てブロックされた。

それぞれにブロック解除の申し立てを行ったが、徒労に終わった。フェイスブックからは最も一般的な「コミュニティ規定違反」の説明のみで、理由はなかった。インスタグラムは滅多に使わないにも関わらず、突然のブロックである。

ツイッターについては、私はここから暫く離れていた。フォロワーが謎の失踪を遂げたことや、同社の偏向ぶりに嫌気がさしたのである。しかし、停止された今、何ヶ月ぶりかに復帰しようと考えた。イーロン・マスク氏が買収を試みている事もあり、言論の自由や平等な空間になっている事を期待したのだ。

ツイッターにブロック解除を申請すると、奇妙なことをやらされた。6つのマスのうち、不正確な影が映るマスを1つ選べというのだ。本人認証に必要なプロセスだという。14回繰り返した後、15回目に「間違いです」と言われ、振り出しに戻った。何度も試したが認証されず、それに関する説明もなかった。明らかに、私はツイッターが仕組んだインチキゲームにつき合わされたのである。

どのくらいの人が同様の扱いを受けているのだろう。マスク氏の買収劇に関わらず、ツイッターにはもうウンザリだ。

これは冗談ではない。私たちは思想統制の時代を生きている。少しでも右寄りの著作家であれば、影響は幅広い分野に及ぶ。私はかつて、サイモン&シュスターやランダムハウス(どちらも米大手出版社)、ユニバーサル・スタジオ、ワーナーブラザーズと仕事をしていた人間である。しかし、今は彼らからオファーが来ることもないだろう。

彼らは膨大な聴衆と配信力を持つビッグプレーヤーだ。その影響力で、左派でも右派でもないアメリカの中間層に働きかけ、何かを説得させることもできる。一方、私のように少し右寄りの人間は、中間層に語りかけることも許されないのだ。

私は毎朝、パソコンを立ち上げる時に不安になる。私が現在投稿しているエポックタイムズのウェブサイトはまだあるのだろうか。あるいは突然、私とエポックタイムズは「偽情報」の烙印を押され、消されてしまうのだろうか。

今の現象は、グラスノスチ初期(80年代後半)に文化交流で2度ほど訪れた旧ソ連を想起させる。当時、私は「脚本家」と名付けられた2つのアパートを訪ねた。脚本家であろうとなかろうと、そこには政府お気に入りの作家が住んでいた。モスクワで最高の医療クリニックを構えるそのアパートは、人気が高かったのである。当時ソ連でまともな医療を受けられたのは、党幹部や政府に協力的な科学者、文化人などだけだった。

ソビエト時代の偉大な作家といえば、ソルジェニーツィンやマンデリシュタームを思い出すだろう。彼らは悪質なシステムに逆らう勇敢な人たちだったが、最高の医療はもちろんのこと、金銭的な報酬も受けられなかった。彼らの作品は秘密裏に地下出版され、流通していたのである。

もちろん今はソ連時代に比べれば、出版界も映画界もオープンである。しかし、ほとんどの場合、私たちは自分と同意見の人々に対してのみ語ることを許されている。つまり私たち(右寄りの人々)は隅に追いやられ、隔離されているのだ。

「私はソ連時代の作家なのか」と言ったが、私には彼らの勇気と奥深さには到底及ばない。しかし、私は彼らに共感している。なぜならば、アメリカは彼らのような国になる寸前だからだ。

 

オリジナル記事:英文大紀元「I Am a Soviet Writer Now」より

(翻訳編集・郭丹丹)

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
アメリカの小説家・オスカー賞受賞脚本家。ニュースサイト「PJメディア」の共同創設者。