中国共産党の上層部は、ゼロコロナ政策について「秋開催予定の第20回党大会まで方針を変更しない」と非公開の会合で表明したという。在中国の欧州連合商工会議所(EUCC)のイエルク・ブトケ(Joerg Wuttke)会長は4月28日、ドイツメディア「NZZ」のインタビューで明かした。
ゼロコロナの危害が分かっても転換できず
同氏は中国共産党の経済や貿易に関する非公開会議で、「非常に情報通でトップレベルの政治家」に会ったという。「彼らは、ゼロコロナが経済にとってどういう意味を持つかを知っている。ただ、今は政策転換できないだけだ」
「ゼロコロナ政策も、プーチン氏との友情も、3期目の続投を確実にしたい習近平国家主席にとっては、ここに来て方針を変えるわけにはいかない」とブトケ氏は指摘した。
同氏は北京に30年以上住んでおり、中国政府の上層部に人脈を持っている。
同氏はかつて、「他国のようにウイルスと共存して、うまく付き合ったほうがいい」と人脈を通じて上層部に伝えたこともあるという。
ブトケ氏が会長を務める在中国の欧州企業で構成されるEUCCも先月、中国の胡春華副首相に書簡を送付し、「北京は方針転換すべき」と求めた。
EUCCは書簡の中で、在中国の欧州企業の苦境を訴え、大規模PCR検査や隔離といった旧来の方法ではオミクロン株に対応できないと指摘した。
しかし、「聞く耳を持たなかった」という。
「中国は他国よりパンデミックにうまく対処していると、これまでプロパガンダしてきた。中国は党大会前にゼロコロナの代替案があることを認められない」とブトケ氏は分析する。
ゼロコロナ対策は幹部らを追い込んだ
当局が掲げた5.5%の経済成長目標について、ブトケ氏は「実際には4%、あるいはそれ以下だろう」と予測した。
「今年の中国経済は出だしは良かったが、3月28日の上海の感染者確認で全てが崩れた」と同氏は指摘。
当局のゼロコロナ政策により、4月の最初の3週間で上海の貨物量は前年同期比81%激減した。隣の江蘇省の貨物量も30%減、全国範囲では15%減となった。
一部の江蘇省の自動車メーカーは下請け会社からの部品調達が間に合わず、また、品物が封鎖区域を通れないため、生産中止せざるを得ない企業もある。
ブトケ氏はさらに、当局のゼロコロナへのこだわりが多くの幹部を追い込んでいると指摘した。
「彼らは経済などよりも、自分の管轄地域で感染者が発見され責任を取らされるほうが怖い」
(翻訳編集・李凌)
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