「孔子学院が学問の自由にリスク」豪議会委員会が報告書

2022/03/29
更新: 2022/03/29

豪情報安全議会合同委員会(PJCIS)はこのほど発表した報告書で、敵対勢力が同国大学へ与える脅威がエスカレートしていると指摘した。PJCISの委員長を務める自由党のジェームズ・パターソン(James Paterson)上院議員は「脅威をもたらす最大の元凶は中国だ」と指摘した。

「孔子学院が学問の自由にとって脅威」

PJCISは25日、豪州の高等教育や研究機関に影響を及ぼす国家安全保障上のリスクに関する報告書を発表した。

PJCISは1年以上にわたって調査した結果、大学職員や学生を脅迫しようとした事例や、スパイ行為、知的財産の窃盗などを確認したという。

報告書は中国政府が運営する孔子学院に言及し、同学院が「豪大学の学問の自由や学生にリスクをもたらしている」と明言した。

PJCISは、孔子学院を開設している大学や豪外務大臣に、孔子学院がもたらす脅威に「早急に対応するよう」呼びかけた。

中国語教育機関と銘打つ孔子学院は、欧米では「中国共産党のスパイやプロパガンダ(政治宣伝)の機関」と指摘されており、閉鎖の動きが広まっている。

PJCISはまた、豪モナシュ大学と中国国有航空機メーカー「中国商用飛機 (COMAC)」との1000万豪ドル(約9億3000万円)の契約が国益に適っているかどうかを審査するよう外務大臣に提言した。

「米国政府から制裁を受けているCOMACは世界的な産業サイバーの諜報活動とも関係がある」とPJCISは指摘した。

脅迫などに罰則の新設を提言

PJCISの報告書に関して、パターソン議員は豪紙「オーストラリアン」(土曜版)への寄稿で「機密性の高い豪州の研究が外国の独裁政権やその軍隊に流用されている」と指摘した。

「豪州内には13の孔子学院が設置されている。同学院を通じて中国政府が監視と検閲を行っているという懸念がある」とパターソン上院議員は述べた。

パターソン氏は、海外から優秀な人材を集める中国の「千人計画」がもたらす深刻なリスクにはまだ十分に対処できていないとした。米国は千人計画について「機微な情報を盗み、輸出管理の違反に報酬を与えてきた」として監視を強めている。

豪保安情報機構は、大学にとって開放性は「不可欠」であり、外国の諜報機関はそれを利用して「知的財産と最先端技術を盗む」と同国メディアに述べた。

報告書は外国勢力の脅威に対抗するため、27の提言を行なった。脅迫や検閲を受けた場合、第三者機関に報告することや、(中国人)学生の発言を外国政府に報告するなどの行為に対する罰則の新設などが含まれている。

(翻訳編集・李凌)