米原子力潜水艦のグアム訪問 世界の安全保障への継続的関与示す

2022/02/18
更新: 2022/02/18

2022年1月中旬に米国領グアムを訪問した米海軍の弾道ミサイル潜水艦「USSネバダ」は、インド太平洋地域の同盟国およびパートナー国に対する米国の取り組みを強調するとともに、同オハイオ級潜水艦が世界規模で活動する能力と準備体制を備えていることを示した。 

ワシントン州のキットサップ・バンゴー海軍基地を母港とするネバダは、グアムのアンダーセン空軍基地に着陸したアメリカ海軍のE-6Bマーキュリー航空機の支援を受けていた。E-6B TACAMO(Take Charge and Move Out、任務遂行後に即撤退の意)は、原子力弾道ミサイル潜水艦(SSBN)のための核指揮、制御、通信(以下、NC3)を提供するものだ。米国家指揮権限保持者とアメリカ戦略軍は原子力弾道ミサイル潜水艦とE-6Bを組み合わせることで、即応性と信頼性の高い戦略的抑止能力を世界中に展開することができる。 

グアムを出港したネバダはNC3手順を強化するためE-6Bと共に通信に焦点を当てた海上演習を行い、兵器間の相互運用性を検証すると共に戦略的プラットフォーム間で代替となる通信方法を探るため確立済みの戦術、技術、手順を確認した。 

米国海軍は艦隊全体で14隻の原子力弾道ミサイル潜水艦を保有しており、各艦が最大20発のトライデントII D5核弾道ミサイルを搭載している。「ブーマー」とも呼ばれる原子力弾道ミサイル潜水艦は通常約77日間を海上で過ごし、その後保守点検のため港に数週間滞在する。各原子力弾道ミサイル潜水艦にはブルーとゴールドの2種類の船員がおり、それぞれが交互に哨戒活動を行っている。原子力弾道ミサイル潜水艦は探知不可能な弾道ミサイル発射プラットフォームであり、米国が保有する陸上の大陸間弾道ミサイル、B-2およびB-52H戦略爆撃機を含む核戦力3本柱の中で最も生存確率の高い兵器だ。 

世界中の価値観を共有する国々が直面する様々なセキュリティ上の課題には次のようなものがある。 

(1)ロシアがウクライナ国境沿いに軍事ハードウェアと10万人以上の兵士を集結させた。これは2014年のロシアによるクリミア半島の併合・占領と同様、ウクライナへの侵攻の可能性を示している。 
(2)最近の中国の核戦力・その他軍事力の蓄積。台湾沖での中国の好戦的な軍事訓練と相まって、自治が行われている台湾本島への侵攻が考えられる。 
(3)国連安保理の制裁に違反して行われた最近の北朝鮮の弾道ミサイル発射実験。 

こうした不安定な事態の中で同盟国やパートナー国に世界中の安定と安全を維持するという決意を示すため、米国はネバダのグアム港訪問のような持続的かつ目に見える影響力を維持することが不可欠となる。 

Indo-Pacific Defence Forum
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