米国務省や英、仏、オランダなど欧州の議会では、新疆ウイグル自治区の少数民族に対する中国共産党の弾圧を「ジェノサイド(大量虐殺)」と認定している。専門家は、迫害に関する報告がいくつも発表された法輪功弾圧もジェノサイドに相当すると指摘し、認定を行うよう国際社会に呼びかけた。
米下院の国際宗教自由委員会委員などを歴任し、現在はシンクタンク「ハドソン研究所」で上級顧問を務める国際人権弁護士のニーナ・シェイ氏は4日付の米誌ナショナル・レビューで法輪功迫害に関する文章を寄稿。米国務省の報告を引用し、中国共産党は超法規的な組織を運営し、法輪功に対する撲滅運動を20年以上続けているとした。
拘束された多数の法輪功学習者は強制的な「医療検査」を受け、病院のデータベースに登録されている報告があると指摘。「法輪功学習者たちは集団収容や失踪、拷問に加えて、強制的な臓器摘出の対象になっている」と述べた。
シェイ氏はジェームスタウン財団の報告を引用し、中国の病院における臓器移植担当者が、中国共産党の法輪功弾圧組織の幹部を兼任していることを取り上げた。また、中国共産党や人民解放軍、刑務所、病院の間で臓器移植について緊密に連携しているとの情報があると記した。
シェイ氏は、中国共産党政権の法輪功「撲滅」政策や、臓器強制摘出の疑いに関する国連人権特別報告官などの調査報告、そして多くの法輪功学習が中国共産党によって手術台へと送られたことから、中国共産党にはジェノサイドを行う意図があったと結論付けた。
新疆ウイグル自治区における大規模な収容キャンプは2010年代に始まったが法輪功迫害は90年代末に開始している。これを踏まえ、シェイ氏は法輪功迫害をジェノサイドと認定し早期に対処していれば「ウイグルの大量虐殺は起こらなかったかもしれない」とも述べた。
米議会では昨年12月、法輪功迫害に関与する人物の米国内における資産の凍結や入国禁止を盛り込んだ「法輪功保護法案」が審議入りしている。
2020年10月には、米国務省の民主主義・人権・労働担当のデストロ次官補(当時)は「米国は中国共産党による臓器摘出疑惑について関連情報の収集を続けている」と記者会見で明らかにした。
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