メタ、欧州撤退を警告 EUのデータ規制で

2022/02/08
更新: 2022/02/08

メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)は、欧州連合(EU)の規制により米国へのデータ移管ができなくなれば、欧州でフェイスブックやインスタグラムなどのサービス提供を断念せざるを得ないとの見解を示した。2日、米国証券取引委員会に提出した年次報告書のなかで警告した。

EUでは、欧州から米国への個人データの移転に関して厳格なデータ保護要件が定められている。欧州司法裁判所は2020年7月、欧州から米国への個人データの移転する「プライバシー・シールド」の枠組みを無効とする判断を下した。メタ社は現在、「標準契約条項(SCC)」に基づいてデータの転送を行なっている。

しかし、アイルランドのデータ保護委員会は2020年8月、SCCについてもEUが新たに定めた一般データ保護規則(GDPR)に準拠していないと判断し、EUと米国間でのユーザーデータの転送を停止するよう求めた。

これを受け、メタは事業を行っている国や地域の間でデータを転送できない場合、サービスの提供能力や広告のターゲティング能力に悪影響を与える可能性があるとして、欧州でのサービス継続が難しくなるとの見方を示した。

メタのグローバルアフェアーズ担当のニック・クレッグ副社長はロンドンに拠点を置くメディア「シティAM」への声明のなかで、新規則は 「複数の分野にまたがるすべてのビジネスオーナーに影響する」と述べ、政策立案者に実用的なアプローチを採用するよう求めた。

メタは利用者の獲得に苦戦している。同社は2日、2021年12月末時点のフェイスブックの1日あたりの利用者が19億2900万人だったと発表。3カ月で100万人の減少となり、同社の18年の歴史の中でフェイスブックの利用者数が初めて減少に転じた。これを受けて同社の株価は一時20%超の下落を記録し、約2000億ドルの市場価値を失った。

米国をはじめ国際関係担当。