北京冬季五輪 実費用は予算の10倍=米メディア

2022/02/04
更新: 2022/02/04

中国政府は冬季オリンピック招致時、「シンプル、安全、エキサイティングな」冬季大会を目指すとアピールした。米ニュースサイト「ビジネスインサイダー」の最新調査によると、実際の費用は政府発表の39億米ドル(約4500億円)の10倍にあたる385億米ドル(約4兆4200億円)を上回る見通しだ。

当局の発表では、2008年に開催した北京夏季オリンピックの総費用は420億米ドルだった。今回の予算は、過去20年間で最も少額だった。

ビジネスインサイダーは1月30日、中国側は大会の開催費用を大幅に過小計上したと報じた。

米スポーツエコノミストのアンドリュー・ジンバリスト氏はビジネスインサイダーの取材に対し、「中国から詳細かつ正確な情報を得るのは難しい」とした上で、交通インフラ、スポーツインフラ、選手村など諸々の建設・整備費用の多くは予算に含まれていないと指摘した。

ビジネスインサイダーによると、中国の公開予算には数十のプロジェクトが漏れている。例えば、国家スピードスケート館「冰絲帶(氷のリボン)」など、いくつかの主要競技場の建設コストが除外されている。中国官製メディアの報道では、「冰絲帶」の建設費用は約1億8660万米ドル(約214億円)に達した。

中国政府は大会の主要プロジェクトの多くを「インフラ整備事業」として分類しており、IOC規定では同分類は大会費用としてカウントされない。オリンピック会場が集中する延慶、張家口の両地区の多くの競技場は「インフラ整備事業」とみなされた。

延慶、張家口と北京を結ぶ交通インフラも必要。当局は張家口の寧遠空港の改修に2億560万米ドル(約236億円)、新しい高速道路に150億2000万米ドル(約1兆7228億円)を投じた。それらも大会費用に算入されていないとみられる。

競技施設のほかに、計上されていない隠れたコストがある。

国内外のメディアの報道によると、オリンピック期間中の好天候を確保するために、ここ3カ月間で少なくとも250発の砲弾が張家口周辺の上空に発射された。人工降雨のために多数の飛行機が周辺の空港で待機していた。当局はこの類の「オリンピック・ブルー」のためのコストを公表していない。

延慶や張家口のスキー場も、ほぼ人工雪に頼っているため、その費用も隠れコストにあたる。

(翻訳編集・叶子静)