消防庁は18日、令和3年版消防白書を発表した。冒頭挨拶では自然災害対応、コロナ対応、東京五輪における消防特別警戒、ワクチン投与業務など「様々な対応が求められた」と多様な活動を含む一年を振り返った。
昨年は静岡県熱海市土石流災害に出動した緊急消防援助隊は7月3日から26までの24日間にあたり活動し、出動隊の総数は3099人に及ぶ。多量な土砂が堆積する現場での救助・捜索活動では、ドローン映像や急傾斜で活動可能な小型救助車が活用したことから、特別行動工作車やハイスペックドローンの設置推進を図るという。
消防庁は東京五輪競技大会における特別警戒にもあたり、テロを念頭に除染システム搭載車や化学剤遠隔検知装置を整備。緊急通報システムおよび多言語音声翻訳などのアプリを導入し、外国人や障害のある方への緊急通報対応に取り組んだ。
一昨年前から続く中共ウイルス(新型コロナウイルス)対応に関しては、消防庁は全国の消防本部に対して、注意喚起及び救急活動における感染防止対策の手順の周知・徹底を要請した。
また、医療機関への受け入れ照会回数4回以上で現場待機30分以上を超える「救急搬送困難事案」の抑制に向けた連携協力を要請した。白書によればこの事案が最も増えたのは感染第5波にあたる2021年8月第4週で、コロナ前の19年同時期の3.7倍(3153件)に上ったという。
消防庁はワクチン供与が始まり投与可能な人材が足りなくなる「打ち手不足」問題が生じた時は、救急救命士を充てたことを紹介した。
白書では地域の消防団など防災力の充実強化や、政府の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」における消防庁の取り組み、消防防災分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進についても説明した。
政府は令和2年12月に「防災減災」対策を閣議決定した。通信網が途絶した際に、衛星通信を用いた非常用通信手段の確保を地方自治体に導入。また災害通知について防災無線(屋外スピーカー)ほか携帯電話の速報メールの活用など多重化を行った。
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