中国BGI、カナダの大学などに検査設備提供 データ安全性に懸念も 

2021/12/23
更新: 2021/12/23

カナダ放送協会(CBC)の今年初めの追跡調査で、カナダの大学や病院施設には少なくとも6台の中国遺伝子解析大手、華大基因(BGI)シーケンサー(DNAの塩基配列を解析する装置)があることがわかった。データが中国に送られる恐れがあるとして、専門家は懸念を示した。米政府系ラジオ・フリー・アジアが20日に報じた。

設備を購入したのはトロント大学だけで、ほかはBGIから「借用した」ものであることも判明。BGIのシーケンサーで収集されたデータの保存先に関して、各研究機関は契約上の機密を理由に回答を拒否した。

カナダ政府の元科学技術顧問だったマーガレット・ジョンストン(Margaret McCuaig-Johnston)氏は、BGIが着々とカナダの医学バイオテクノロジーの分野に入り込んでいることに懸念を示した。

1台あたり60万~100万ドル(約6840万~1億1400万円)もする機械を「なぜBGIはカナダに無償で提供したのだろうか?本当に何の代償もないのだろうか」と同氏は疑問視した。

BGIは設備のメンテナンスも無料で行っているという。

いっぽう、カナダの非営利団体であるゲノムカナダ(Genome Canada)は、「BGIは患者データにアクセスする権限を持っていない」とデータ漏洩の可能性を否定した。

ロイターの調査で、BGIが人民解放軍と協力して開発した出生前検査を受けた女性500人以上の遺伝子データが、同社が運営する深圳の「国家基因庫(ナショナル・ジーンバンク)」に保管されていると判明した。このデータバンクは中国政府から資金提供を受けている。

BGIの検査で収集したデータは、中国の国家安全保障に直接関わる場合、「当局への提供が可能だ」とロイターは指摘した。

カナダのブリティッシュコロンビア大学の元研究員である黄寧宇氏は、「中国企業は中国政府の指示に従わなければならない。両者の間には境界線がない」と指摘した。

黄氏はカナダの各主要研究機関に対して、中国と提携するプロジェクトを注意深く審査する必要があり、「さもなければ、トロイの木馬が送られてくる」とした。

(翻訳編集・李凌)