政府は、南アフリカで新たに確認された新型コロナの変異ウイルス・オミクロン株への対策として、27日から水際対策を強化することを発表した。南アフリカなど6カ国からの入国者を対象に、入国後10日間、政府が指定する宿泊施設で待機する措置を始める。ワクチンの効果が不明であるとの情報もあり、各国は渡航を制限する動きを強めている。
水際対策強化の対象として指定されたのは、南アフリカ共和国、エスワティニ、ジンバブエ、ナミビア、ボツワナ、レソトの計6か国。
松野官房長官は26日の記者会見で、オミクロン株が南アフリカを中心に感染が広がっているとし「危機管理の要諦は最悪の事態を想定することだ。新たな変異株の感染が拡大するなど、状況が悪化する場合には、機動的に対処していく」と述べた。
世界保健機関(WHO)が26日に命名するまで、オミクロン株は「B.1.1.529」と呼ばれていた。その感染能力の強さから、最も警戒レベルが高い「懸念される変異株(VOC)」として分類されている。
世界保健機関は26日付の声明で、「直近の数週間で感染は急拡大しており、オミクロン株の検出と時期を同じくしている」と明らかにした。そして他の変異株と比較して再感染のリスクが高いことを示唆する証拠があると指摘した。
オミクロン株の影響はすでに広がっている。ロイター通信の報道によると、ベルギー政府は26日、国内でオミクロン株の感染者が初めて確認されたと発表した。感染者はトルコ経由でエジプトに旅行していた女性だという。
この事態を受けて、EU加盟国はアフリカ南部からの航空便の乗り入れを停止することで合意した。
世界貿易機構(WTO)は26日、11月30日から12月3日にかけてスイス・ジュネーブで開催予定の閣僚会議を延期すると発表した。
このほかにも、オミクロン株の感染者は香港やイスラエルで確認されており、研究機関は変異株の分析を進めている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。