中国当局は10月末、飛行中の民間航空機や軍用機などの現在位置をリアルタイムで表示するスマホ用アプリ、フライトレーダー24(Flightradar24)を「スパイの道具」であるとし、国内でのダウンロードを禁止した。
中国国営中央テレビ(CCTV)は10月31日、フライトレーダー24への名指しは避けたものの、「中国の安全保障当局は2020年以降、複数の海外機関がウェブサイトやSNSプラットフォームを利用して、中国の航空ファンに対してADS-B(放送型自動従属監視)の電波を受信する設備を提供したという問題を認識している」と報じた。
ADS-Bは、航空機が衛星測位システムを使って自らの位置を特定し、航空管制官や航空機などにその位置情報を定期的に送信し、追跡を可能とする監視技術である。
CCTVは、海外機関が「航空機の位置情報の共有などを餌にし、またはボランティアを募集するとの名目で、(中国の航空ファンから)航空機の位置情報を集めて、情報を海外に送った」と批判した。
同報道は、中国国内に約300台のADS-B受信装置があり、中国空域内で飛行する民間航空機や軍用機から発信される電波をキャッチできると明かした。北京市国家安全局は、ADS-B受信ネットワークは「軍用機にとって直接的な脅威となっているとの見解を示した。また、一部の政府機関は調査を始め、数百台の「違法な」設備を押収し、航空ファンに対して「叱責と教育を行った」という。
フライトレーダー24は、スウェーデンの航空ファンが2006年、ADS-B受信ネットワークの構築からスタートした。09年に同ウェブサイトが公開された。世界各国の航空ファンが受信したADS-Bデータをフライトレーダー24のサーバーに送信できる。航空機の位置情報のほか、便名、出発地と目的地、飛行高度、速度などが表示される。
台湾メディア「中央社」によると、10月末以降、中国国内でフライトレーダー24のアプリのダウンロードができなくなった。
(翻訳編集・張哲)
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