米インド太平洋軍司令官「中国は言動不一致」台湾などへの攻撃的な姿勢を非難

2021/08/27
更新: 2021/08/27

80年以上にわたりインド太平洋地域で活動している米国は、同地域のすべての国の発展・繁栄を目的として合意した規則に基づく秩序の維持に専念する提携国としての立場を実証してきた。

最近、特に中国が地域の安定性を崩壊し得る行動を続けていることを踏まえ、米インド太平洋軍(USINDOPACOM)司令官のジョン・C・アキリーノ(John Aquilino)大将は同盟・提携諸国に向けて任務に着実に取り組む米国の方針を改めて表明した。

米国国防総省が発表したところでは、2021年8月上旬にコロラド州で開催されたアスペンセキュリティフォーラム(Aspen Security Forum)で講演したアキリーノ大将は、「すべての国の航行の自由を確保し、(地域の)相互繁栄を促す安定と平和の維持を保証するため米国は今後も同地域で活動に取り組む」と述べている。

同大将はまた、引き続き香港南シナ海台湾に攻撃的な姿勢を示す中国に対する懸念を表明し、中国は言葉と行動が一致していないと話している。

たとえば、香港返還に関連して1984年に中国と英国の間で締結された「英中共同声明」の内容に中国は合意したはずであった。英中共同声明により英国の植民地であった香港の主権が中国に返還されることになったが、香港は独自の行政長官、行政部門、立法会、司法機構が都市の法制度を運用する特別行政区として確立され、返還後50年間、つまり2047年までは高度な自治を維持できることが約束された。

しかし、方針転換を図った中国は宣言の効力を軽視し始め、同宣言は香港の統治方法には適用されないと主張するようになった。英国当局や米国などの他諸国は中国の主張に反対している。

アキリーノ大将は、「現在の中国の行動は、署名時に声明に遵守する意図を示した中国政府の言葉とは完全にかけ離れている」とし、「中印国境でも同様の行動が見られる。米国はこれを懸念として捉えている。

新疆ウイグル自治区のウイグル人に対する政策および米国や同士国が尊重する尊厳、尊敬、人権を侵害している事実に目を向けていただきたい。米国はこれも懸念として捉えている」と述べている。

同大将によると南シナ海における中国の行動は、同地域の他諸国が共有する「自由で開かれたインド太平洋」構想に反する。 同大将はまた、「米国は南シナ海全域に対する[中国の]違法な領有権主張も懸念している。同国の主張により生計から漁業や天然資源の獲得に至るまで、同地域の国すべてに直接的な悪影響が及ぶ」とし、「こうした理由により米国は切迫感を持って統合抑止措置を速やかに講じる必要がある」と語っている。

米インド太平洋軍は地域全体の同盟・提携諸国と協力を図りながら、主権と繁栄の維持および緊張緩和に対する諸国の必要性と欲求を理解することに努めている。

同大将は、「米国は同盟・提携諸国と時間をかけて協力を図ることで、法治に基づく国際秩序の維持と違法な主張による問題発生の抑制に取り組んでいる」とし、「中国政府は最近、他国が領有権を主張する場所も含め同地域における80ヵ所の陸地や水域の名称を一方的に変更した。

これは同地域の全諸国の期待と信念を裏切るものであり、発展・繁栄を維持する上で必要な活動とは対極をなす」と述べている。

アキリーノ大将が主張するところでは、歴史に基づく海域と陸地の主権を勝手に変更して改名する中国の行動は、「自由で開かれたインド太平洋」構想を共有する諸国の信念に反するものである。

安定、繁栄、法治に基づく秩序を重視する諸国は、支援を約束した米国の固い信念を信じることで、こうした共通目標を確実に達成することができる。

(Indo-Pacific Defence Forum)