福建省厦門市応急管理局がこのほど公布した通達は、市民に対して非常用物資を備蓄するよう呼びかけたことが分かった。台湾情勢を巡って緊張感が高まっているなか、憶測が広がっている。当局の心理戦や情報戦の一部だとの指摘もある。
厦門市応急管理局が13日に出した通達は、標準版の非常用物資リストと拡大版のリストを提示した。標準版には防災グッズなど10種類、拡大版には67種類の品物が記されている。
中国人ジャーナリストの洪涛氏は米ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対して、台湾に最も近い厦門市当局が公布した同文書は、台湾海峡情勢を巡り憶測を呼び起こしたと語った。同氏は「何らかのシグナルを送りたい、または緊張した雰囲気を醸し出したいという意図が当局にあるのだろう。しかし、真意はわからない」とした。
RFAによると、今年1月以降、広東省広州市、浙江省、上海市など沿岸都市の政府は相次ぎ、各家庭に防災グッズの準備を呼びかけた。
厦門市応急管理当局は、緊急時の市民の自助能力を高めるためだと説明した。しかし、地元の企業経営者は不安を抱いている。「台湾海峡情勢が悪化すれば、今まで築き上げた資産はすべて水の泡となるだろう」
法曹界関係者の呉氏は、厦門市当局の通達は「戦備時の行為だ」と話し、中国側が台湾に武力侵攻する可能性があるとした。
「戦争がいつ始まるかは予測できないが、当局は世界の金融センターである香港をいとも簡単に崩壊させたのだから、厦門なんて当局の眼中にないだろう。当局は政権維持のためなら、国民の命など何とも思っていない」
厦門市応急管理局の職員はRFAに対して、各家庭に応急物資備蓄リストを公布したのは台湾問題と関係ないとし、物資の準備も強制的ではないと話した。しかし、他の詳細についてコメントを差し控えたという。
昨年末以降、中国当局は国民に対して、家庭で半年分以上の食糧を備蓄するよう呼びかけた。応急管理部(省)は各地で家庭応急物資の備蓄を推進している。これは毛沢東時代に、毛沢東がソ連からの核攻撃に備えるために出した「深挖洞、広積糧(深く防空壕を掘り、より多くの食糧を蓄える)」という国防政策を彷彿とさせた。
(翻訳編集・張哲)
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