蘭ASML社、中国にEUV露光装置販売せず 米政府の要請で

2021/07/19
更新: 2021/07/19

米メディアによると、半導体国産化を急ぐ中国当局は、オランダ半導体製造装置メーカー、ASML社に対して、半導体製造に欠かせない露光装置を中国に輸出するよう圧力を引き続きかけている。

ASML社は、世界最先端の極端紫外線(EUV)露光装置を生産している。同装置は米国の技術を使っているため、米政府の対中輸出規制の対象となっており、ASML社は中国への輸出を停止した。これは、半導体国産化を急ぐ中国当局にとって痛手となっている。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)17日付によると、中国当局の高官は蘭政府の関係者に、EUV露光装置の輸出許可書を付与するよう、頻繁に要求しているという。駐蘭の中国大使を務めた徐宏氏は、蘭政府が同装置の輸出を許可しなければ、中国とオランダの貿易関係に影響を与えると発言し、報復措置としてオランダ製品の輸入を禁止する可能性を示唆した。

報道によれば、米政府の反対で、蘭政府は中国当局の要請を拒んでいるという。米国のトランプ前政権は、米国の技術を使用しているハイテク製品に関して、米政府の輸出許可を受ける必要があると定めた。2019年、トランプ政権は同盟国である蘭政府に対して、露光装置を中国当局に販売しないよう求めた。バイデン現政権は、同政策を受け継いでいる。

専門家は、ASML社のEUV露光装置がなければ、中国の半導体製造メーカーは高水準の半導体を作ることができないと指摘した。ASML社の同露光装置では、5ナノメートルの半導体を生産できる。また、同社は今後数年内に、1ナノメートルの半導体を製造する新しいEUV露光装置の開発を完成させる見込みだ。しかし、中国国内の半導体製造技術は、5ナノメートルの半導体を生産できる水準に達するまでに、少なくとも10年かかるという。

(翻訳編集・張哲)