途上国へのワクチン普及を目指してCOVAX(コバックス)を主導する国際組織「Gaviワクチンアライアンス」が12日、中国の製薬大手2社からワクチンを購入する契約を結んだと発表した。
ワクチン計5億5000万回分が、中国医薬集団(シノファーム)と科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)の2社から、来年前半までにワクチンを共同調達する国際的な枠組み「COVAXファシリティー」を通し、供給される見通しとなった。
それを受け、米国際開発庁(USAID)のサマンサ・パワー(Samantha Power)長官は14日、中国がCOVAXに寄付や資金援助ではなく、ワクチンを売って利益を得ることを選択するとは、衝撃的だとした。
パワー氏はまた、「今年の第3四半期のCOVAXの供給は大幅に不足している。そのうえ、デルタ型が猛威を振っており、米国はワクチン供給の問題を解決しようとしている」
「今、ワクチンを必要としている多くの国々は『中国製ワクチンを受け入れる』または『ワクチンがない』という選択に直面している」
「私たちは、中国がワクチンを利用して、人々の絶望感と引き換えに何を得ようとしているのかをはっきりとわかっている。しかし、私たちは中国とは違って、寄付には何の見返りも求めてはいない」と述べた。
米ファイザーも、モデルナもCOVAXへの少量のワクチン寄付に同意している。
米上院外交委員会の共和党筆頭理事でもあるジム・リッシュ(Jim Risch)上院議員も14日の公聴会で、「COVAXの中国ワクチン購入の決定に驚き、困惑している」と述べた。
同氏はまた、「彼ら(COVAX)はこの皮肉を理解しているのだろうか? (ウイルスの流行は)中国で始まったのに、中国はCOVAXへの参加を拒否した。中国は経済的支援もワクチン提供も拒否した。それなのに、COVAXはお金を払ってまで中国のワクチンを買うと言い出した」
「これは変だ」と述べた。
米国は世界最大のワクチン寄付国
バイデン政権は6月21日、ワクチン8000万回分を6月末までに国外に無償提供することを発表した。
ワクチンを他の国に無償供与する計画に関して、ホワイトハウスは同日の公式声明の中で、「米国は他の国々の好意を得るためにワクチンを利用したりはしない」と述べた。
バイデン大統領は同日、「現在、ロシアや中国などがワクチンを利用して、世界中の国々に恩を売ろうとしているという噂がずいぶん流れている」と触れ、「米国は自らの価値観で世界を導きたい」と主張した。
バイデン政権は先週、感染者が急増しているインドネシアに米モデルナ製ワクチン約300万回分を寄付した。インドネシア政府は11日、ワクチンの到着を発表した。
米国は現在、世界最大のワクチン寄贈国となった。主要先進7カ国(G7)は、少なくとも10億回分のワクチンを世界に供給すると合意している。うち約5億8000万回分が米国から調達される。
(翻訳編集・李凌)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。