カナダのニューブランズウィック州のドミニク・カーディ(Dominic Cardy)教育長官は21日、同国議会の公聴会に出席し、同州が孔子学院の閉鎖を決定した後、中国総領事館から経済的な脅迫を受けたと証言した。
カーディ氏は、下院のカナダ・中国関係に関する特別委員会(CACN)の公聴会で、孔子学院は中国共産党の関連組織で、カナダの教育界にそのイデオロギーを浸透させようとしていると批判した。このため、ニューブランズウィック州は2022年の契約終了とともに、孔子学院との協力関係を停止することを決定したとした。
民主化活動家でもあるカーディ長官は過去、カンボジアとネパールに滞在したことがあると述べ、中国共産党政権は経済手段でこの2つの国の政界を左右していたと言及した。
同氏は、孔子学院が2000年ごろ、同州に進出したと紹介した。数年の間に、多くの小中学生が同学院で学ぶようになったという。「孔子学院の教員は、小学生に中国の地図を書かせ、中国大陸と台湾の境界線を消した。また、(1989年の)天安門事件の事実を否定した。中国当局による人権侵害を批判した学生に処分を行った。孔子学院は、中国文化と中国語の勉強と称して、政治プロパガンダを行っている」
カーディ氏は2018年に同省の教育長官に就任した際、孔子学院の問題を解決しようと考えた。
「これが、(カナダの政治家らの)ロビー活動の始まりだった」
ショーン・グラハム(Shawn Graham)元ニューブランズウィック州知事はその一人だったと、カーディ氏は述べた。
また、在モントリオール中国総領事館の総領事がカーディ長官のオフィスを訪ね、直に交渉したという。
「正常な外交協議は全くなかった。過去の外国での滞在経験、外交経験から、孔子学院をめぐって、総領事は私に圧力をかけようとしているとわかった。経済的な報復も含めた圧力だ。しかも、彼は、この件を学校教育の問題ではなく、両国の外交問題にまで発展させたい狙いだった」
長官によると、中国の総領事は孔子学院を閉鎖すれば、同州と中国政府の関係が悪化し、カナダ産ロブスターが中国で販売できなくなることも含めて、様々な影響が出ると話した。総領事は、長官に中国国内を視察するよう提案し、「中国は実は民主主義の国であることを目にするだろう」と言った。
総領事はさらに、孔子学院を閉鎖することは「中国内政への干渉に関わる問題だ」と主張したという。
カーディ長官は、公聴会でCACNの議員らに対して、中国当局の脅威にさらに警戒し、対抗措置を講じるよう求めた。同氏は、中国当局の圧力と脅迫などは受け入れられないと述べた。
「我々の価値観と違う国の政府と付き合う時、距離を置いたほうが良い」
4月19日、カナダの情報機関、カナダ安全情報局(CSIS)の元幹部、ミシェル・ジュノー・カツヤ(Michel Juneau-Katsuya)氏は、CACNの議員に対して、中国共産党の統一戦線工作部が情報収集のためにカナダで「ダミー組織(front companies)」を作ったと述べた。孔子学院はこのような組織の一つで、スパイ活動を行っていると同氏は証言した。
(翻訳編集・張哲)
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