中国の中央政法委員会は1日、SNSウェイボーの公式アカウント「中国長安網」にインドでのウイルス流行の深刻さを嘲笑する合成画像を掲載した。この投稿に国内外のネットユーザーから「人間性がない」「恥を知れ」などの批判が殺到した。
「中国長安網」が公開した合成画像の左側は中国のロケット打ち上げ時の点火写真で、右側は防護服を着たインド人が中共ウイルス(新型コロナウィルス)による死者の遺体を燃やしている様子を映した写真だ。画像には「中国の点火VSインドの点火」という説明文が添えられ、「インド、1日の新規感染者40万人以上」というハッシュタグが付けられた。
中央政法委員会とは情報、治安、司法、検察、公安などの部門を主管する政府機構だ。
中印両国は昨年来、国境紛争を発端に緊張関係が続いている。香港紙・蘋果日報(アップル・デイリー)は、このような「無慈悲」な投稿は中国による反撃であり、中国の一貫した「戦狼スタイル」に通じるものでもあると書いた。
通常、そのような投稿は多くの小粉紅(ピンクちゃん、未熟な共産主義者)によってフォローされ、深い「愛国心」世論が形成される。しかし今回、中央政法委は総スカンを喰らった。
記事コメント欄には、小紛紅による擁護のメッセージはあったものの、圧倒的に批判の声が多い。
ネットユーザーらは、「ほんとに、政府の公式な発言でこんなことを言うのか?」
「ならず者の振る舞いをやめてくれ、本当に恥ずかしい」
「『中国長安網』の対比図は非人道的であり、恥ずべきものだ。とにかく卑劣だ」
「道徳水準がここまで低いとは思わなかった。命を公然とあざ笑うほど道徳心が低いのか。良心のかけらまでも失ってしまっているのに、それを誇りに思うほど低いとは…」などと批判した。
また、「『中国長安網』は中国人民を代表することはできない。インド人民が一日も早くウイルスから解放されることを願っている」と書き残した人もいた。
批判を受け、「中国長安網」は問題の投稿を削除した。しかし、それでもネットユーザーからの非難は止まない。
「人民のコメントを受け止める根性はないのか?」
「中央政法委の官製メディアとして、その発言は本当に恥ずべきものだ。人間としての基本的な気遣いすらないのか?」
「この投稿は『憎悪を宣伝し、地域差別』だとすでにウェイボーに通報した」と書き残した人もいた。
「中国長安網」が今回のような掲載をしたのは、初めてではない。最近の投稿にはインドに対する皮肉や当てこすりが複数あった。
それ以外にも、中国公安部のニュースサイト、公安部治安管理局の公式ウェイボーの「中国警方在线」も4月30日に別の対比図を掲載した。
その合成画像は、左側は昨年ウイルス大流行した武漢の仮設病院・火神山病院の建設現場で、右側がインドの野外死体焼却場だった。画像に「中国の火神山、インドの火神山」との説明が添えられ、「インドのニューデリー、犬用火葬場を人間用に改造」というハッシュタグが付けられていた。
同ウェイボーの投稿は5月1日の深夜に削除された。
(大紀元日本ウェブ編集部)