英紙デイリー・メール(Daily Mail)は24日、9年前から中国当局が始めた秘密軍事研究プロジェクトに武漢ウイルス研究所(WIV)の研究者らが参加し、共同で動物由来のウイルスを研究していると報じた。
同紙が入手した文書によれば、同研究プロジェクトの目的は新種のウイルスを発見することと、病気のまん延に関わる生物学の「暗黒物質(dark matter)」を検出することにある。
同プロジェクトでは、武漢ウイルス研究所の著名研究者である石正麗氏、中国軍の軍事医学科学院微生物流行病研究所の曹務春・所長らが責任者を務めている。
石氏は、コウモリ由来のウイルス研究分野の第一人者で、「バットウーマン(コウモリ女)」との異名を持つ。
曹務春氏(少将階級)は流行病研究の専門家で、英ケンブリッジ大学やスウェーデンのカロリンスカ研究所(Karolinska Institute)などに訪問学者として招かれた経歴をもつ。また、同氏は軍の生物・化学兵器防御専門家、陳薇少将が率いる軍事研究チームのナンバー2として、中共ウイルス(新型コロナウイルス)が発生した武漢に入り、同時に当局の中共ウイルスワクチン開発に参加した。
中国衛生部(厚生労働省に相当)が所管する研究施設、伝染病予防管理国家重点実験室(State Key Laboratory of Infections Disease Prevention and Control、SKLID)の公式ウェブサイトでは、曹氏と石氏2人は「動物由来病原体の発見およびヒトへの病原性研究」というプロジェクトで協力していたことがわかった。
このプロジェクトは2012年に始動した。プロジェクトのリーダーを担うのは中国の微生物学者で、中国政府系アカデミー、中国工程院院士の徐建国氏だ。中国国家自然科学基金が同プロジェクトに資金を提供した。
デイリー・メール紙が取得した同プロジェクトの2018年の情報では、研究者は「4種類の新しい病原体と10種類の新しい細菌を見つけた」「メタゲノミクス技術を用いて、1640種類以上の新しいウイルスを発見した」という。研究は、石正麗氏が中国南部の洞窟からコウモリの糞や血液を採取したように、サンプルから遺伝子物質を抽出することに基づいている。
デイリー・メール紙は、石正麗氏はこのサンプリング方法で、中共ウイルス(SARS-CoV-2)に最も近いコロナウイルス「RaTG13」を入手し、武漢ウイルス研究所に保管したと指摘した。
米国務省は、武漢ウイルス研究所でコロナウイルスを操作する実験が行われていることについて懸念を示していた。同省は1月、中国武漢で中共ウイルスの流行が発生する数週間前の2019年秋、同研究所の複数の研究者はコロナウイルス感染症と似た症状が出ており、体調を崩したとの情報を入手した。
米国の生物・化学および核拡散問題の専門家であるデービッド・アッシャー(David Asher)氏はデイリー・メール紙に対して、中国軍と武漢ウイルス研究所の共同研究プロジェクトについて、「中国は、バイオテクノロジーを将来のハイブリッド戦争に取り入れようとしている。問題は、彼らがこの分野での研究を攻撃に使うのか、それとも防御に使うのかということだ」との認識を示した。同氏は、中共ウイルスの発生源に関する米国務省の調査に関わった。
(翻訳編集・張哲)
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