香港親中派紙・大公報は16日、香港政府に向けて、民主化活動家でメディア王の黎智英(ジミー・ライ)氏が創刊した「蘋果(リンゴ)日報」を取り締まるよう求める記事を発表した。
同記事は、昨年、国家安全維持法(国安法)が実施されて以降、香港の「一部のメディアは依然として『第4の権力』を使い、外国勢力と結託し、暴力を扇動し偽情報を流している」と主張。「その中で『蘋実日報』が最も悪質だ」と記事は批判した。
記事は、蘋果日報は「香港の国家安全における大きな抜け穴」で、国安法に基づき「取り締まられるべきだ」とした。
2019年、犯罪容疑者の中国本土への身柄引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正案をめぐって、民主活動家や市民が大規模な抗議デモを複数回行った。黎氏は抗議活動や集会に参加し、香港当局を非難した。昨年8月、当局は国安法違反の疑いで黎氏と蘋果日報の幹部らを拘束した。
今月14日、当局に起訴され勾留中の黎氏は、同紙の記者らに宛てた手紙の中で、「現在、言論の自由に関わることは危険な仕事となりました。同僚の皆さん、どうか気を付けてください。危険を冒さないでください。自らの安全が重要です」と呼びかけた。その一方で、同氏は「正義を貫くことはわれわれジャーナリストの責務です」「こういう時代だからこそ、われわれは背筋を伸ばして立ち向かうべきです」と励ました。
中国当局が香港への統治を強めるにつれ、言論の自由や報道の自由が侵されつつある。
香港大紀元時報の印刷工場に12日、正体不明の男らが押し入り、設備などを破壊した。
(翻訳編集・張哲)