米超党派議員、中国念頭にした「臓器強制摘出停止法」を上下院に提出 対象者に制裁

2021/03/13
更新: 2021/03/13

中国共産党が主導する信仰者や少数民族から移植用臓器の強制摘出問題に対応するため、米国の超党派議員たちは3月上旬、この人道犯罪に関わる外国政府高官や組織を制裁対象とする法案を上院と下院に提出した。

「臓器摘出は、私たちの世界には存在するべきではない、ひどく野蛮で非人道的な行為だ。国際的な人身売買ギャング、テロ組織、さらには無実の人々を殺し、利益のために臓器を売る一部の政府、特に中国の共産主義政権による恐ろしい虐待を終わらせるために、私たちはもっと努力しなければならない」 と同問題に長らく取り組むクリス・スミス上院議員は法案提出にあたり、声明を発表した。

臓器強制摘出停止法案(Stop Forced Organ Harvesting Act)」は、次の内容を盛り込んでいる。

1.米政府が、違法な臓器購入者の入国拒否または入国許可を取り消すことを許可する
2.米国務省は、強制臓器摘出に責任のある外国の役人と団体を特定して、強制臓器摘出に関する年次報告を作成する
3.強制臓器摘出に関与する外国組織と提携する臓器移植外科医を訓練する米国の機関について、米国務省は保健福祉省と連携して年次報告書を作成する
4.臓器移植手術のための道具や機器を、強制臓器摘出に関わった組織の輸出を禁止する
5.強制臓器摘出に関与またはその他の方法で支援する外国高官および団体を制裁する

下院の同法案H.R.1592は、トーマス・スオジ議員(民主党)とビッキー・ハーツラー議員(共和党)が3日に、上院の同法案S.602はクリス・スミス議員(共和党)と、トム・コットン議員(共和党)、クリス・クーンズ議員(民主党)が4日に、それぞれ外交委員会に提出した。

議員たちは提出にあたり、声明を発表している。「中国共産党が迫害された宗教団体、無実の囚人、死刑囚から臓器を収穫し続けているという証拠が増えている」 「この法案は、強制臓器摘出に関与している中国共産党のメンバーを特定して罰するものだ」とコットン議員は述べた。

「強制臓器摘出は非人道的、非道徳的、そして残酷だ。米国はこの卑劣な慣行と戦うためにできる限りのことをしなければならない」 と上院人権委員会の共同議長を務めるクーンズ上院議員は述べた。 「私は、臓器収奪と国際人身売買に関係するこの超党派の法案を支持できることを誇りに思う」と付け加えた。

人権擁護NGOの臓器移植濫用停止国際ネットワーク(ETAC)は、それぞれ米上下院で臓器強制摘出停止法案が提出されたことに歓迎の意を示した。ETAC事務局長であるスージー・ヒューズ氏は「この法案は、臓器の人身売買と臓器の除去を目的とした人身売買の問題について、最も包括的な内容だ。世界的な臓器売買に広く取り組むだけでなく、毎日罪のない人々の命を奪われている、中国での強制臓器摘出取引の阻止に繋がる」と述べた。

ETACは、中国共産党体制による系統的な臓器強制摘出を、検察や人権弁護士、医師などからなる判事団が検証し、裁量する「民衆法廷」の開廷を申請した。民衆法廷は、2019年6月、1年あまりの検証を経て「中国でかなりの期間、極めて多くの良心の囚人からの強制臓器収奪が行われている」との最終裁定を下した。民衆法廷の開催国である英国をはじめ、中国臓器強制摘出問題の認識が高まった。

(佐渡道世)