中国共産党、幼稚園児にも政治教育 保護者が「アンチ洗脳対策」で抵抗

2021/03/08
更新: 2021/03/08

中国共産党結党100周年にあたる今年、中国当局は「洗脳教育」をはじめとする様々な権力強化策を打ち出している。最近では、全国の学校が始業式で、中学から幼稚園までの生徒に「党に従おう」「赤い遺伝子を受け継ごう」という政治教育キャンペーンを展開している。

中国紙・新京報によると、北京市門頭溝区政府は3月1日、始業式で同区の1200クラス3万5000人の生徒と教師に「党の歴史を学び、党の理念を理解する」と題した新学期最初の授業を行った。区内の小中学校や幼稚園の生徒たちは、それぞれのクラスで生放送を見ていた。

また、中国科学院附属玉泉小学校や北京市東城区の培新小学校など、多くの学校が著名人を招いて党の歴史を語る形で始業式を行った。

この政治教育ブームは北京の学校に限ったことではない。遼寧省では、390万人の小中学生が3月1日の始業式で一斉に、新学期最初の授業「党の歴史を学ぶ」を行った。

中国共産党は近年、全国の学校で思想・政治カリキュラムの強化を続けており、2019年11月には「新時代の愛国教育実施要綱」を発表した。習近平国家主席は、「党や社会主義への親近感を養うための思想教育は、子供たちから始めるべきだ」と強調している。今年は中国共産党(以下、中共)の創立100周年と重なり、キャンパスの政治色がいっそう強まっている。

保護者のアンチ洗脳対策

3月1日付の米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、子供への政治教育について、複数の小学校教師が当局の言論弾圧を恐れ取材を断った。湖北省の幼稚園児の父親は、匿名を条件に取材を受けた。

同保護者によると、中共は近年、幼稚園児への政治教育を強化し、幼稚園で洗脳映像や歌を流すことで、「忠実な奴隷」を育てようとしているという。

閉鎖的な環境で洗脳された人間は、文明社会への自然な抵抗感を持って育つため、親としては、自分の子供が政治的プロパガンダに汚染されないように、家庭で「アンチ洗脳対策」を練っている。例えば、共産主義やその無神論の影響を排除するために、子供たちに神話や伝説を教えているという。

「子供たちを操り人形に」

匿名の保護者は大紀元の取材に対し、幼稚園児でさえ「党史」を学ぶよう強いられている事実は、中国の教育環境の悪化を示していると語った。「1989年6月4日の天安門事件(学生らによる民主化運動)以来、中共は学校に対するイデオロギー統制を強化し、教員に対する政治的監査を厳しくしている」と指摘。

「今では、中共のネット検閲を突破するネットユーザーが増えている。中共の嘘から目覚めた人々は、中共に統治の脅威とみなされている。中共は今、政権を守るために、次世代を担う子供たちへのマインドコントロールを強化し、洗脳によって子供たちをバカや操り人形に変えている」とした。

同保護者は「私たちはこのように育ち、やっと共産党の邪悪な性質を知った今、子供たちに騙され続けてほしくないし、中共による洗脳から目を背けるわけにはいかない」と述べた。

「綱渡りの果てにある中国共産党政権」

在米中国人経済学者の李恒青氏は大紀元の取材に対し、中共が政権を掌握したこの71年間、今日ほど危機を強く感じたことはないと述べた。崩壊寸前の中共は、政権維持のためなら手段を選ばないと指摘した。

同氏によると、中共は常に歴史を改ざんし、嘘を作ることによって、統治の正当性を根拠づけようとしてきた。現実に、中共の支配には何の正当性もない。なぜなら、中共政権は、国民の投票で選ばれたのではないからだ。中共は過去71年間、司法権力、軍隊、宣伝機関(プロパガンダ)の3つの手段で政権を維持してきた。

「しかし、今、中国の人々は目覚めつつある。中共は終焉を迎え、歴史の舞台から退場しようとしている。しかし、習近平氏は時代の流れについていけず、歴史を塗り替え、中共を復活させようとしている。これは時代に逆行している。歴史の歯車は前に転がり、その道に立つ者はすべて打ち砕かれるからだ」と李氏は語った。

(翻訳編集・王君宜)