出入国在留管理庁は2月上旬、外国人入国者数及び日本人帰国者数の速報値を発表した。対象国・地域との間での双方向の往来を可能にするスキームでの出入国は、1月下旬以降停止しているが、「その他」の理由での入国者は1月で2.1万人に上った。緊急事態宣言が出されているなか、日本当局はどのような理由で外国人の入国を許可しているのだろうか。大紀元は出入国を管理する出入国在留管理庁に取材した。
気になる入国の理由とは
政府は新型コロナウイルス感染拡大防止のために、世界の大半の国からの入国制限を定め、また渡航後も14日間の隔離待機が義務付けている。しかし、例外的に、越境を伴う企業関係者らの往来を認める外国人向けの「ビジネストラック」「レジデンストラック」を運用している。いずれも、査証を提出する日本在外公館に対して、入国前14日間の健康モニタリングおよび検査結果の提出が義務付けられている。
ビジネストラックは主に短期滞在者が取得するもので、入国後の14日間の隔離期間中も、行動範囲を限定してビジネス活動が認められる。いっぽう、レジデンストラックは駐在員派遣や在留資格を持つ外国人など長期滞在者が対象となる。
大紀元は、新規入国の規制について質問した。出入国在留管理庁の担当者によると、政府は2月14日からレジデンストラックとビジネストラックでの新規ビザ発行を中止し、入国者に対し「誓約書(水際対策など防疫措置を順守することなどを誓約する書類)」の提出を求めた。そして、21日からは入国を停止した。以降、統計資料上でもレジデンストラックとビジネストラックでの入国者は0となっている。
では、「その他の入国者」はどのような理由で入国を許可されているのだろうか。政府はその他の入国者について、「レジデンストラックやビジネストラック以外の方法による入国者であり、人道上あるいは公益上等の特段の事情により入国を許可された者の他、特定永住者、上陸拒否とならない国・地域から入国した者等」と定めている。1月22日以降、レジデンストラックやビジネストラックでの入国が0となっているなか、「その他の入国者」の入国は続いている。
担当者によると、「その他の入国者」は病気治療や家族の危篤、家族の分離など、人道上の配慮を要する理由で入国が許可されている。病気治療については、日本でなければ治療できないステージ4の末期がん患者が治療のために入国することを例として挙げた。また、家族が危篤状態であり、二度と会えない可能性があるなどのケースがあったという。一方、親または子供が出国したままコロナの影響で面会することができず、精神が持たないというケースも許可の対象となっていると語った。「あまりないという想定だったが、体感としては結構あった」と担当者は感想を述べた。
記者は具体的な事例数や割合を求めたが、政府はそのような統計を行っていないとのことだった。
大紀元は再入国についても質問した。担当者によると、再入国の認可については生活拠点が日本にあるということが考慮されており、現時点では仕組上再入国できる。その上で、受入れに際しては様々な検疫上の措置を取っていると話した。「相手国での検査結果証明は必須であり、さらに入国時に検査を行う。14日間の自宅待機を行うことや位置情報を保存すること、厚労省のアプリを利活用する等の内容を定めた誓約書も書いていただく」とのこと。誓約書の内容に違反した場合には在留資格の取り消しや強制退去もありうるという。
9月以降入国者が倍増した理由について、担当者は、空港でのPCR検査の体制が整ったため、今まで帰って来られなかった人たちが帰国したためではないかと話した。そして昨年の一回目の緊急事態宣言と二回目の緊急事態宣言の間に、「門戸が大きく開いた」のは事実だと話した。
訪日外国人数98.3%減 日本政府観光局調べ
日本政府観光局(JNTO)が2月17日に発表した最新の統計では、今年1月の訪日外国人数は前年同月比98.3%減の4万6500人だったことが明らかになった。
新型コロナウイルス感染症の抑え込みに成功した昨年6月から、訪日外国人数は月ごとに増加し、12月にはピークに達した。しかし変異種ウイルスの出現や感染再拡大を受けた政府が入国時の検疫を強化したことや新規入国を停止する等の措置を取ったため、1月は大幅な減少に転じた。
1月の訪日外国人数を国別でみると、ほぼすべての国で9割減となった。国別で入国者数が多かったのは、ベトナム(2万人、前年比60.3%減)、中国(1万200人、98.9%減)、韓国(2500人、99.2%減)、米国(1200人、99.0%減)、フィリピン(1000人、98.1%減)だった。
(王文亮)
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