国連、北朝鮮における拷問や強制労働の蔓延を指摘

2021/02/18
更新: 2021/02/18

2021年2月上旬、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、北朝鮮では収容所などで拷問や強制労働が蔓延しており、人道に対する罪に当たる可能性があるとが発表した。ミシェル・バチェレ人権高等弁務官は声明を通して、「違法な刑事免責の蔓延だけでなく、非人道的犯罪に繋がり得る人権侵害が引き続き行われている」と指摘した。

異例の国連調査委員会の調査により、北朝鮮政権が非人道的犯罪を犯していることが判明してから7年目に当たる今年2月に公表された今回の年次報告書は、情報が不足してはいるものの、国連人権高等弁務官事務所は北朝鮮国家保衛省や人民保安省が管轄する政治犯強制収容所が現在も存在していると結論付けた。

バチェレ人権高等弁務官は国際社会や機関に対して正義の追求と今後の違反防止を促している。同報告書には、国連安全保障理事会に対し北朝鮮の事態について国際刑事裁判所(ICC)に付託する、また国連特別法廷を設置するなどの選択肢を検討することを求める内容が含まれている。

国連人権高等弁務官事務所のラビナ・シャムダサニ報道官は、「北朝鮮と交渉する機会には、重大な人権侵害と非人道的犯罪の継続に対する責任を追求することが二の次になってはならない」と述べている。

2月1日、NBCニュースに出演したアントニー・ブリンケン米国務長官は、北朝鮮の非核化に向けて米国の同盟諸国と協力して北朝鮮に他の制裁措置を講じることができるだけでなく、何らかの外交的インセンティブなども手段として使えると述べている。

2020年7月、北朝鮮は政治犯収容所の存在を否定し、収容所における強制労働、拷問、殺人に関与したとして2組織に制裁措置を課すと発表した英国政府を非難した。

国連報告書には、元収容者等への取材により、「殴打、拘束、飢餓により収容者に重度の肉体的・精神的な苦痛や苦悩を体系的にもたらす拘禁場所の実態について信頼性の高い一貫した証拠」を継続的に得ることができたと記されている。

オーストラリアのマイケル・カービー元裁判官が率いた国連調査の結果は2014年に公表されているが、これを再確認する内容となった今回の報告書には、「拷問という非人道的犯罪が普通の刑務所体制で引き続き行われていることが判明した」と記されている。

報告書には、「奴隷という非人道的犯罪に相当し得る」強制労働も刑務所では続いているとも記されている。

(Indo-Pacific Defense Forum)