台湾立法院(国会に相当)は10月6日、米国との国交回復を目指し「積極的に推進するよう」と蔡英文政権に求める決議案を可決した。最大野党の国民党が同議案を提出した。米国をはじめとする国際社会が対中包囲網を狭める中、親中派の国民党は政策方針を大きく転換させた。
国民党が提出した議案は、過去2カ月間、米国のアザー厚生長官とクラック国務次官が相次いで台湾を訪問したことや、9月末に米国のクラフト国連大使が台湾の国連加盟を支持し、トム・ティファニー米下院議員が台湾との国交回復を求める法案を議会に提出したことを挙げた。
また議案は、米政府が「台湾旅行法」などの法案を次々と可決し、台湾を支持する姿勢を強めている現在、外交部(外務省)は台米の全面的な外交関係再開に取り組むべきで、「蔡英文政府は台米の国交回復を外交目標とし、積極的に推進しなければならない」と主張した。
6日の立法院では、全会一致で決議案が承認された。
また国民党は、中国軍機が9月中旬以降、台湾の防空識別圏(ADIZ)に十数回進入し、威圧的な飛行をしたことで、蔡政権に対して米国とのさらなる軍事協力を求める議案も提出した。
議案は、中国共産党が台湾の国民と社会経済システムの安全を明らかに脅かす行為があった場合には、「蔡英文政府は、米国政府に対して、(これらの行動を)中国共産党の西太平洋地域における平和と安定に対する脅威とみなすよう求め、『台湾関係法』に則り、外交的、経済的、直接的な軍事(行動)の手段を用いて、中国に抵抗するわが国を援助するよう積極的に説得すべきである」とした。
与党民進党の鄭運鵬幹事長によると、民進党内での議論を経て、国民党側と話し合った結果、議案の中にあった「直接的な軍事(行動)」を「安全防衛」に修正した。
同議案も6日に可決された。
総統府の張惇涵報道官は、立法院の決議を尊重すると述べた。台湾と米国の外交関係について、「現段階で最も重要なのは、国防、経済・貿易、政治など各分野で協力関係を一歩ずつ深化させていくことだ。方向性が正しく、着実に協力を深めていけば、台米のパートナーシップはより強固で、より長く続く」とした。
蘇貞昌行政院長(首相に相当)は、国民党の政策方針の転換を歓迎した。同氏は、「米国との国交樹立から国交断絶まで、すべて国民党政権の下で起きた。しかも、国民党は今まで、台湾の最大の国益を考慮せず、台湾の民意を汲み国民のために声を上げてこなかった。議案を提出したことは、国民党がこれまでの言動を悔やんでいることを反映した」と指摘した。
蘇行政院長は今後、国際社会における台湾の地位を高めるため、与野党が一段と団結することを望むと話した。
(記者・呉旻洲/李怡欣、翻訳編集・張哲)